七十五歳からの年金受給に備えるべき五十代以下、いつまでシニアのツケを支払い続けるか

【人生考察】 平成二十九年七月十八日に『高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会/内閣府』が開催され、委員を務める読売新聞の東京本社 社会保障部部長・猪熊律子が「繰り下げ年齢も現行の七十歳から、もっと下に行っても良いのではないか。詰まり七十五歳とか、 その様に延ばしても良いのではないかと思っています。」と述べた。報道側から七十五歳への繰下げ案が出たインパクトは大きい。


座長を務める経済学者・清家篤は最後に「更に、これをもっと繰り下げ支給の幅を広げるといった事も可能性としてあるかもしれない。」と議事録に残した。検討会は回を重ねて、九月中旬に「高齢社会対策大綱」の骨子案を取りまとめて、年内に閣議決定する予定。「高齢社会対策大綱」はおよそ五年毎に改訂している。



年金には国民年金と厚生年金等がある。国民年金の支給は原則六十五歳以上。厚生年金の支給は男性で五十六歳以下、女性で五十一歳以下から六十五歳以上(報道現在)。支給は七十歳までの繰下げを選べる。現状では本来の年金額よりも四割増しで年金額が貰える。但し、非・年金受給者は年代が下がる毎に本来の年金額を割り込む見込みが大いにある。それは年金制度の事実上の破たんだ。理屈は簡単で年金を支える働き手の世代が人口オーナスで減少し、年金を貰うシニアが増加し続けるからだ。


特に八百万人の規模を擁する団塊世代は、既に年金を貰い始めているが間もなく七十代に入る。七十代に入ると健康保険の自己負担率は二割に減り、病院等の使用頻度も上がる為、国民医療費は上がり続ける。国民医療費は二十七年に四十兆円と超えた。十年以上連続で上がり続け、直に国家予算の過半を占める。こちらの原資は税金が関与する。年金と医療費、この二つが当面の問題で在り続ける。




<何十年も掛けて変えていく見込み>

 そこで政府は先ず年金からメスを入れ続けている。年金の支給年齢を段階的に下げていき、原則七十五歳まで引き下げて、その間は准高齢者に年金を支えて貰いたい。働き手にとっては負担軽減となる。先日の内閣改造で第二手「人づくり革命大臣」が新設された。第一手「一億総活躍大臣」との違いは、ターゲットと目的だ。第一手のターゲットは広く、若い母からシニアまで。目的は母が働ける環境づくりとシニアが働けるように健康を促進する事。第二手のターゲットは中年からシニア。目的はターゲットにリ・カレント教育を施し、人生を再起動させる事。現在、論議が進んでいる大学の無償化は高校生よりも社会人の問題だ。


環境が整う見込みができたら、第三手「立法化等」。七十五歳まで年金の支給額を下げ、同時に凍結分の物価スライド(マクロ経済スライド)で年金支給額を減少させ、消費税を二割まで上げて年金財政を健全にしたい。現行の七十五歳選択制では支給額に変動はない点が異なる。健康保険は七十五歳以上を高齢者と再定義し、全ての七十五歳未満は三割負担にしたい。一割負担であったものが二十年に「高齢者医療制度」を創設。七十五歳以上を一割負担、七十歳から七十五歳を二割負担とした。併せて、現役並みの所得者は何歳でも三割負担となった。



シニアに任せ続けるか、否か

 今が四十歳なら七十五歳は三十五年後、三十歳なら四十五年後、二十歳なら五十五年後の話し。その間、AIや外国人等が活躍する中で働き続けて、老後の資金を蓄えなければならない。現実を見よう。今の自身のスペックで何十年も働き続ける事ができるだろうか。そして、その時は安倍政権ではない。誰であろうか。「立法化」の目星を付けるなら二、三十年後と仮定して、現在三十代の国会議員には小泉進次郎や今井絵理子、元榮太一郎、佐々木さやか、吉良佳子、池内沙織等がいる。現実的には五十代か六十代が総理や国務大臣になるだろう。総理候補の小泉は「こども保険」で既に増税路線を打ち出している。



国民年金の保険料;昭和三十六年時点で百円、平成二十九年時点で約一万六千四百九十円
厚生年金の保険料;昭和十七年時点の男性で六.四㌫、昭和十九年時点の女性で十一㌫、平成二十九年九月以降で十八.三㌫
消費税;平成元年まで〇㌫、平成二十九年時点で八㌫、近く十㌫に引上げ予定



団塊世代以降の再起動により、働き手は負担増であった未来が一部負担減となる可能性が出た。シニアは働き手の時代に殆ど消費税を納めていない。何よりも総理は間接的に国民が決める。若手と中堅の現状が厳しいのはシニア世代の失敗のツケだ。そのツケをシニアに支払わせるのか、政治に無関心を決め込んで絶対数の少ない若手と中堅で大多数のシニアの代わりに何十年も支払い続けるのか。冒頭の委員・猪熊律子は五十代だ。国の未来を決める権利を国民は持っている。それを主権者という。


記事:金剛正臣

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