NPOに“ビジネス感性”を吹き込む

【社会コラム】 ドラッカーが著作で指し示す様に、二十一世紀はNPOの時代だ。根拠は、資本主義のグローバル化により私企業が利潤をより追求する為、利潤の低い分野へは投資を行わないからだ。大組織である行政も同じで、最大公約数へのサービス提供により目が粗くなる。何故なら、国も自治体もグローバルでの生き残りを懸けて、差別化が必要になる為だ。つまり、ニッチ(隙間)を埋める役割がNPOとなる。


現状の国内NPOは、状況が芳しくない。先ず、生活がままならないNPOが多数だ。それはNPOを私物化したシニアが多発し、信頼性を大いに損なった。子どもNPO等でも寄付金の私的流用、人材をボランティアという名目で報酬を払わない、ないし極端に安い報酬でこき使う事が横行したからだ。事実、内閣府のデータ「寄附金の国際比較(画像引用)」では米英と比較し、ずば抜けて個人寄付額が低い。




<イマの日本人は短期的な現実主義だ>

 政府は信頼性回復の為、認定NPOを創った。NPOに対し、財務面・組織面・法令順守面で各自治体が判断し公表する制度だ。これにより一般のNPOよりも信頼性がある。上位の制度として、公益財団・社団がある。こちらは内閣総理大臣ないし都道府県知事が認定する。但し、後者は二十三の内で大物な事業に限定される為、きめ細かな事業には向かない。やはり認定NPOが業界をリードする必要性があるだろう。


往々にしてNPOに足らない要素・感性は、客商売である点だ。多くのユーザからのNPOに対する意見をまとめると「スタッフの質が悪い。」「理事たちが偉そうだ。」等が挙げられる。HPや書類は行政の様に読み難く、分かりづらい。彼等にはビジネスのセンスが必要だ。自民党や共産党はビジュアル化を進め、獲得票もスタッフ数も躍進している。NPOにもできる事だ。


「タダで何かをしてもらおう。」という概念を捨てる事、頼れる寄付者には相応の見返りが必要である事、優れたスタッフには相応の報酬や環境を用意する事、そもそもNPO対NPOもB2Bなのでビジネスである現実を知る事。これらが根付くには、もう暫く時間を要しそうだ。需要と供給が合っていれば、健全に成長できる。それが唯一の評価指針ではないだろうか。

(了)

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