麻生太郎 財務相が高校生達へ語りかけた事

【教育・財政考察】 麻生太郎(庚辰)財務大臣が、令和二年九月九日に東京・新宿にて角川ドワンゴ学園N高等学校(理事長:山中伸一)の「N高政治部」特別授業に登壇した。同政治部は、同月にドワンゴ(代取:夏野剛)の協力の下、高校生への主権者教育の一環として設立した。


若者を前に麻生大臣は、政治・財政にまつわる事や人生に関する事を話した。


「若者が政治に関心がねぇっていうのは、如何にも悪いかの様に言う人がいっぱい居るけど、間違っていると思います。」と自身のアフリカ生活を交え、政治に関心が無くとも生活できる日本の状況を善しとした。だが一方で政治への関心も誘った。「意見を言う為には、(選挙等で)普段から見てないと、批判をしようにも、何か書いてみようと思ってみても、新聞のネタかTVのネタだけしか情報が無いとなると偏ったものになりかねませんから。」と述べた。


「是非、財政というものを考えて貰いたいのですが。」と税金を“会費”と置き換え、財政を分かり易く高校生達へ伝えた。平成二年度と比較し、令和二年度では「社会保障関係費」の歳出に占める割合いが三倍となり、一割から四割弱まで増えた点を強調。麻生大臣は「高齢者の支出を賄う稼ぐ方の若い人が生まれない所が問題。」と指摘した。



<働く人二人で一人のシニアを養っている現状>

 「働く人三人で高齢者一人という比率。」と言ったが、これは数値的過ち。令和二年版「高齢社会白書/内閣府」によれば、平成二十七年時点で、六十五歳以上の者一人に対して現役世代二.三人。二人で一人が正しい。今から四十五年後の令和四十七年には、一.三人の現役世代で六十五歳以上の者一人を養う計算まで出している。


現状は未曽有のデフレによる不況であり、今までの歴史上のインフレ不況とは異なる事実も伝えた。世界で最も少子高齢化が進む日本が、世界の先頭に立って人類初の対処を行っている。自国通貨による国債発行につき、日本の様に自国通貨(円)で国債発行できる国は世界で数ヵ国しかない点を伝え、「日本は外国に対して借金がある訳ではありませんから。」と、日本の財政の信頼性の高さを訴えた。


教育と批判

 教育に関しては、明治時代の義務教育(尋常小学校)を挙げ、「明治維新の四十年後には世界三大強国の一つロシアや中国・清に勝ってるでしょ。間違いなく教育政策が当たったんだって。」と成果を強調。翻って現代では、義務教育からの高等教育への接続を問題視。「中学まで義務にする必要があるのか。」と尋常小学校時の義務教育回帰について話した。当時は十五歳での就職率が五割の時代であった。麻生大臣は、早く義務教育が終わった方が、伸びる才能があるとの見解。


他方、政府の政策への批判にまつわる話では「若い時に批判を気にしていたら、生活できんのじゃないのかね。あの、別に若い時から出来上がった人間を期待してませんしね。若い時は尖がっているのが当たり前なんだ。」と高校生に諭した。ただ、「それ(批判)を一切、聴こうとしないしない態度は間違い。しかし、それを聴いて落ち込んでいるのも間違い。あまり、それを気にしない事よ。」と断じた。


そして、GDP(国内総生産)からGNI(国民総所得、海外からの収入を含む)へ視点を移行する事を勧めた。平成二十九年度の日本の前者は五百兆円程度、後者が六百兆円程度。


画像:【N高政治部】麻生太郎副総理 特別授業(高校生のための主権者教育)/学校法人角川ドワンゴ学園チャンネル、令和2年版高齢社会白書/内閣府

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