日本経済に真に必要な事は「接待交際費」を戦後復興期に戻す事

【政経・ビジネス論説】 企業の「接待交際費」の規制を昭和二十九年時に戻す。これが「消費減税・凍結」よりも日本経済再生へ大きな力を有するであろう。



原則、交際費等は全額が損金不算入。「接待交際費」の内、「接待飲食費」については例外として、中小企業(資本金一億円未満)は「定額控除 限度額」の八百万円か、「五十㌫の損金算入(一千六百万円以上の場合)」。資本金が一億円以上で百億円未満は後者のみ。百億円以上は損金算入が不可となっている(令和二年四月一日現在 法令等、『租税特別措置法』)。


先ず、昭和からの流れを視られたい。


  • 昭和二十九年;「交際費」への課税制度が税制改正で導入。朝鮮戦争の時だ。立法趣旨は、資本蓄積の促進冗費の節約の二つ。資本金五百万円以上が対象。過去年度の七割を基準として、超過額の五十㌫を損金不算入
  • (高度経済成長期)三十一年;五十㌫だった損金不算入を百㌫に引上げた。対象も資本金一千万円以上となった。その五年後には資本金の基準をなくし、全法人が対象
  • (高度経済成長期)四十二年には、「前期交際費」の百五㌫の超過部分が損金不算入
  • (高度経済成長期から約十年)五十七年;定額控除方式に戻った。資本金一千万円以下なら四百万円、同五千万円以下なら三百万円、同五千万円超なら〇円と。定額控除の超価額は全額損金不算入。この後に「平成バブル」となる
  • (平成不況期の初め)平成六年;資本金五千万円以下を対象に「定額控除額」の十㌫を損金不算入
  • 経済の悪化が進む十年;十㌫を二十㌫に引上げた。
  • 続いて十四年;資本金五千万円以下を対象に「定額控除」を四百万円に統一
  • 十五年;対象を同一億円以下とし、二十㌫から十㌫に引戻した
  • 十八年;「飲食費」として五千円以下/人を交際費から除外
  • 更に二十二年;同五億円以上の完全支配関係法人の「定額控除」非適用
  • 二十六年以降;同一億円未満は「接待飲食費」を八百万円までか、五十㌫の損金算入となり、名目時限立法・実質恒久法

好景気の時期に厳しくする事は、資本蓄積の促進・冗費の節約に適っている。


但し、今は未だに不景気(デフレ期)だ。これは国家予算の財政健全化というデフレ策で、国債を渋り続けた事によって国に金が回らなくなった点が大きい。併せて、「接待交際費」の損金算入額が好景気よりも厳しい点が盲点だ。


最初に課税制度を導入した昭和二十九年時の公務員初任給は「九千円/月」。令和では「二十二万円/月」と約二十倍。カレーや牛乳等は約十倍になった。当時の規制対象である資本金五百万円は、今の五千万円から一億円と見做す事ができる。それ未満は、全額損金に算入できた。当時の大企業も五十㌫は損金に算入できた


現状の損金不算入の程度は、「高度経済成長期~平成バブル期」である。

今は、そんなに景気が良いのか。

端的に、厳し過ぎる。「接待交際費」は、法人二税の増となる営業に他ならない。


政府も国債を発行しない、実質的な営業である「接待交際費」も大企業は損金に算入させない。



どうやって経済が上向くのか。



民間である大企業の「接待交際費」が、どれだけ経済に貢献するのかを知らない。ばんばん営業できるから、ばんばん売上高が上がっていく。選ばれる為に各社が競争をする。接待合戦だ。


今は不景気。ならば、「高度経済成長期~平成バブル期」の損金算入ではなく、「戦後復興期」の昭和二十九年の損金算入に戻すべきではないだろうか。大企業は五割の損金算入、中小零細は全額を損金算入。「接待交際費」という枠を気にせず、営業しまくれる。努力が実を結べば、給与も上がる。結果を出した者は皆、所得が上がる(所得税の増)。これこそ活力。毎日が活き活きとする日本社会だろう。


大企業は資本を充分に蓄積している。その資本を「接待交際費」で市中に廻す。現状では幾ら政府が圧力を掛けても動かないものは、動かない。だが「接待交際費」なら直ぐ動く。売上に直結するからだ。誰でも功績は欲しい。


何より、消費減税・凍結よりもインパクトが大きく、GDP・GNIを増大させる事は経済学者に計算させれば、即、分かる事である。企業数も再び四百万社に戻る。同時に、国債を百兆円単位で毎年発行し続ければ、その後に法人二税は弥が上にも全国で増加し、消費税は増税でき、ベーシックインカムもセーフティネットとして採入れ、社会保障費も安定し、構想「年金百年」は光を取戻す。


安心さえあれば、若手は限界突破できる。

高が「接待交際費」だけで、好景気に突入できる。これが民間の感覚だ。

もてなしの国なのに、もてなせない。

(了)



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