芸能界が激震する判決、タレントは自由に事務所を辞められる権利を有す

【社会・芸能解説】 東京地裁(裁判長:松村徹)は、元グラドルの小倉優子(癸亥)が所属していた芸能プロダクション「アヴィラ(代取:牧野昌哉)」へ一方的に契約解除したとして、小倉に対し一億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で解除有効と、「アヴィラ」側の請求を棄却した。


本裁判は、第一審なので第一審の判決正本が送達日(現実に受け取った日とは限らない。)の翌日から起算して二週間以内に控訴(第二審;高裁)しなければ、今回の判決が確定する。契約解除が有効とした理由を松村裁判長は、二つ指摘した。同社の経営者の有罪判決(脱税)と小倉の同社への不信だ。


前者は違法行為なので、慎みをもてば問題ない。後者は昨今のブラック企業的な風潮を反映しているだろう。本人の意思にそぐわないマネジメント(芸能活動)を繰り返すと、契約解除が有効になりやすい(二、三度程度では有効ではないだろう)。特に検察・警察と司法はG界に対し目を光らせている。着エロ的な要素は猥褻と見做され、G界へ厳しい判決が下る日も近い。



<強要・強制でなくともリスク>

 先んじて、S界では画期的な判決が下った。契約書が何であれ、「意に反するAV出演は許されず、契約は即時解除できる」という判決だ。契約を締結しても、収録当日になっても、その場で出演を拒否し、契約をなかった事にできる判決。昨年九月の東京地裁(裁判長:原克也)の事件だ。アマゾン等はG界のDVDを一部アダルト指定ないし販売中止を行っている。司法が今後、「G界のDVDもAV出演に準じて、即時解除できる」と判断すれば、芸能界のマネジメントの在り方が変わってくる。


最早、強要・強制だけでなく、本人の意思を重ねて確認する必要がプロダクション側に発生するだろう。本人が「意に反した」と法廷で証言すれば、プロダクション側は否定できる証拠が必要になる。DVDも含めて出演内容の詳細な説明等を決して省いてはならない。今は契約解除の求めだけだが、その内、不法行為による損害賠償請求(民法第七〇九条)の訴訟を起こされるだろう。契約期間が長ければ長い程、賠償金額は上がる。



タレントが訴える事ができる期間は長い

 決して彼女達を侮ってはならない。民事訴訟には、訴訟できる期限がある。時効の三年と除斥期間の二十年だ。ポイントは前者が「損害、及び加害者を知った時から三年」、後者が「不法行為の時から二十年」。


  • 加害者に対する損害賠償請求が可能な程度に相手を知った時(最判;昭和四十八年十一月十六日)
  • 被害者が損害の存在を現実に知った時(最判;平成十四年一月二十九日)
  • 損害の性質上、加害行為の後一定期間が経過しないと損害が発生しない場合は、その全部又は一部が発生した時(最判;平成十六年四月二十七日)


日本の従来のプロダクション体質は三権の一つ「司法」において略々、否定され、タレント側が勝訴するだろう。芸能界は改める機会を与えられた。

(了)


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