【金融報道】 野村総合研究所(4307.T1)は、令和二年十二月二十一日に『NRI富裕層アンケート調査』を公表した。実施は十月から十一月に掛けて。併せて元年の日本における「純金融資産 保有額別」の世帯数と資産規模を各種統計等から推計した。
有効回答は一千五百二十人。内、本人と配偶者の保有する金融資産の合計額が一億円以上の回答は三百五人。統計情報として確からしい。
<五十人に一人が純金融資産 一億円以上>
日本の富裕層・超富裕層の世帯数は、平成二十九年を超え、十七年以降で最多となった。この二年で新たに六万世帯が富裕層以上となった。純金融資産の保有額で「富裕層(一億円以上五億円未満)」及び「超富裕層(同五億円以上)」は、百三十二.七万世帯。前者が百二十四.〇万世帯(九十三.四㌫)、後者が八.七万世帯(六.六㌫)。
国内における富裕層以上の比率は、二.二㌫(全世帯数は「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和二年元日現在)/総務省」)。五十人に一人が富裕層以上となる。二十五年から始まった安倍政権の経済政策「アベノミクス」以降の七年間は、一貫して富裕層以上は増加を続けている。アベノミクスは金融市場で成功した証左。
この二年で幾ら増やしたのか。純金融資産の保有額は、前者が二十一兆円、後者が十三兆円増やした。逆に五階層中、最下層である「マス層」は直近七年で三十三万世帯の増。「アベノミクス」は金融経済と比べ、実体経済では奏功したとは言い難い。原因は安倍内閣の財政政策を止め、消費増税に走らせた財務官僚。現在のマス層が貧しい理由は、全て財務官僚の失敗にある。
個人資産から企業の金融資産を意識か
同研究所は要因分析をした。過去十年近くに亘って富裕層以上の世帯数及び純金融資産の保有額が増加している要因を、株式等の資産価格の上昇によって資産増大した点に加え、金融資産を運用(投資)している準・富裕層の一部が富裕層へ、富裕層の一部が超・富裕層に移行した為とした。
但し、懸念もある。コロナ禍の影響だ。「個人資産の事よりも、所有する事業や法人の先行きが、以前よりも心配になった(五十三㌫)」と実体経済を案ずる。富裕層以上の企業オーナー経営者は、資産につき、学びと専門家の必要性を感じている。これは個人資産だけでなく、企業の金融資産への知の欲求だろう。
- 経済の先行きや自分が管理・運用する資産に関して、積極的に情報収集や勉強をする様になった(四十七㌫)
- 「自分の考えだけで資産の管理・運用をするのは限界があると感じた(四十六㌫)
- 「資産の管理・運用に関するアドバイスをしてもらえる信頼できる専門家が必要だと思った(四十二㌫)
上図は富裕層以上の需要。
画像:㈱野村総合研究所
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