神奈川県動物保護センター、殺処分ゼロの次の課題は飼育放棄ゼロ

【社会考察】 「動物環境・福祉協会Eva」の代表理事を務める杉本彩(戊申)は去る平成二十八年九月二十二日に『人と動物が共に暮らせる社会の実現に向けて』と題し、神奈川県動物保護センタ職員、ボランティアのメンバと共にディスカッションを行った。


ディスカッションは、現在ペット殺処分ゼロを継続している神・動保センタで保護された犬のスライドを見ながら行われた。映し出された保護犬の表情が和やかで生き生きとしている点に杉本は「この老朽化したセンタで、満足では無い環境の中、殺処分ゼロを達成した事に驚いた。」と初めてセンタを訪れた際に驚愕したと話した。保護される犬は様々で、一歳にも満たない仔犬から老犬まで幅広い。また直接飼い主から引き受ける場合もあれば、野良犬となった犬達を保護する場合も。センタに収容された犬の中で、訓練犬として基本的な躾けの訓練を行っていき、可愛がられ易い様に職員が一頭一頭世話を看る事もあるが、全ての犬に対応という訳にはいかないのが現状だ。




<終生飼育の重要性>

 若くて元気な犬は比較的引き取られ易いが、老犬になると中々引き取り手も見つからず、ボランティアの助けが必要になってくる。更に雑居房でのケアは難しく、何頭も一緒に入っているので餌等の細かな点には気付き難くなる。長く雑居房に居る内に病気が移ったり、喧嘩で怪我をしてしまう子も多い。


この様な点から、神・動保センタでは事前の去勢・避妊手術で望まれない命を増やさない事や、マイクロチップの挿入で犠牲を増やさない取り組みを行っている。また、新しい飼い主を探す取り組みとしてセンタが開催する譲渡会やボランティア団体に一旦引き取られた後に譲渡会を行い、殺処分ゼロを継続している。併せて新設される予定の施設では、一つでも多くの命を救う為に個室の数を増やす計画も進められている。



「(神奈川県は)殺処分ゼロを達成したが、そこがゴールではない。」という杉本。新センタは今より動物に優しい施設を目指すが、動物達にとっては元気でも普通の暮らしは出来ず、幸せではない生活を強いられる事には変わらない。「殺処分ゼロを目指すという目標があった事は良い事だが、大切なのは無責任な飼育放棄をゼロにする事。」と杉本は語り、飼い主による終生飼育を強く訴えた。


『HAPPYあにまるFESTA2016/㈶動物環境・福祉協会EVA』


記者:原田眞吾×撮影:金剛正臣

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