国会議員は今をどう捉えているのか|言論NPO設立十五周年

【社会・政治考察】 十一月に開催された『言論NPO設立十五周年記念フォーラム』のセッション2「日本は民主主義と自国の将来像をどう描くか」が話し合われた。同NPOの工藤泰志 代表、自民・逢沢一郎 衆議(岡山一区)、自民・中谷元 衆議(高知一区)、民進・松本剛明 衆議(兵庫十一区)の四名が登壇。


まず民主主義の現状を問うた。中谷衆議は、日本のマスコミと民主主義は自由で健全と評価。松本衆議は、専門家の国会議員と有権者の間に情報のギャップがある点を指摘。ポピュリズムと排他的なナショナリズムに警鐘を鳴らし、若年世代への予算配分(税金)が少なさに言及した。



<パラダイムシフト下>

 次に民主主義の危機を問うた。逢沢衆議は、伝統的な自由経済「グローバリズム」という貿易体制から調整の時代に入ったと述べた。「保護主義(自国ファースト)」が世界で台頭する中、国家間の相互強調を次期の国連事務総長・アントニオ・グテーレス(元ポルトガル首相)に期待。

前防衛大臣の中谷衆議は、米・トランプ、比・ドゥテルテ、英・メイ等を挙げ「答えが無い時代。」と世界秩序を心配した。国連に期待するものの、理事会に対しては曇り。世界の安全保障について、日本の自覚を呼び掛け、改憲による自衛隊の最高指揮官が総理大臣である旨の明記と「文民統制(シビリアン コントロール)」を重要視した。

松本衆議は、冷戦後の新たな国際社会の意思決定への変化と捉えた。経済と社会改革において、不安を煽らずに成長を阻害せずと慎重な潮目への対応を望んだ。



責任感

 最後は工藤代表が政党マニュフェストを曖昧とし、国民に説明が無いと口火を切り、国内政治へ問うた。松本主義は民主政権時代のマニュフェストの失敗に、現民進は尻込みをしており、自党のマニュフェストの曖昧さを認めていた。またマニュフェストの実行者とも云える各役所について、役人は民意を得ていない為、監視するのは国会議員の責任とも述べた。

逢沢衆議は厳密な意味でのマニュフェストになっていない、と数値の盛り込みが甘い自党のマニュフェストを評価。地方自治から学んでいく姿勢をみせた。

中谷衆議はマニュフェストのやり過ぎに触れ、それが次世代へツケ廻しになる点を警戒。野党からの厳しい質問に関し、「答えてしまうと責任問題になるので、答えません。」と、大臣時代の国会答弁の現実を振り返った。

これらを受けて工藤代表は、政党政治の意義と真の野党が不在である点を訴え、三名にイノベーションを求めた。


 民主主義はポピュリズム(大衆迎合)というステージに立っている。国内選挙の現行制度では、ポピュリズムを増長する。背景にはSNSの発展があり、大メディアが今迄は紙面や尺の都合上で報じれなかったニュースを手に入れる事がある。この流れは変わらない。ポピュリズムは一つのマーケティングとプロモーションであり、今後の政治家に求められる新たな能力ではないだろうか。エリートが修得しなければ、質悪なレモンが政界を席巻する可能性もある。


日本の現エリートはリスクに及び腰だ。彼らを攻める事も一つであるが、リスクテイカーが評価される政治システムが必要であろう。イノベーションは主に失敗がメインだ。リスクが大半である。イノベーションを起すには大きなリスクを執らなければならない。故に数度の失敗で再起不能になる様な日本では、リスクに強い、リスクに立ち向かえる政治家は出て来ようが無い。

失敗をマネジメントできる参謀、リーダーが求められる。


撮影記者:金剛正臣

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