【ビジネス・社会ニュース】 国交省(大臣:石井啓一)の「平成二十九年度予算」は国費・一般会計で五.八兆円(国家予算の六㌫程度)、財政投融資で三.六兆円。四つを重点化した。その内の一つに「Ⅲ.生産性向上による成長力の強化」がある。その最初に「ストック効果を重視した生産性向上に寄与する戦略的な社会資本整備」として一.四兆円を置いた。一般会計でのシェアは実に二十四㌫に及ぶ。
同省は五輪後の大きな国家戦略として、国際戦略経済都市『スーパー・メガリージョン(大東名阪、TMH)』の形成を目論む。これはリニア中央新幹線を軸に三大都市圏を繋ぎ、対流させ、イノベーションの創出を促す。国家より小さく、自治体より大きい単位。詰まりは、現在はバラバラの三大都市圏を一つにしようとするものだ。実現すれば、世界最大の人口都市となる六千万人圏である。メガリージョンとなる。「国土のグランドデザイン二〇五〇/同省」の基本戦略の一つだ。
海外の代表的なものに、第二のシリコンバレーと呼ばれる米国の「グレーター・ワシントン(ワシントンDC、バージニア州、メリーランド州)」がある。他には世界のイノベーション センタに成りつつある中国の「長江デルタ(江蘇省、浙江省)」がある。
<大東名阪で新ライフスタイル>
日本の『大東名阪』では、リニアにより東京大阪間が一時間圏内になる。後二十年以内での開業を狙う。『大東名阪』内には、四つの主要国際空港(成田・羽田・中部・関西)と二つの国際コンテナ戦略港湾(京浜港・阪神港)がある。主な役割分担としては、東京圏が世界クラスの国際的機能、名古屋圏が世界クラスのものづくりと研究開発機能、大阪圏が文化・歴史・商業機能と健康・医療産業等となっている{国土形成計画(全国計画)二十七年八月/国交省}。また圏外も含む学府や研究機関等の連携効果「ナレッヂ・リンク(高度価値創造)」も期待される。
『大東名阪』で日本国民の生活は一変する。リニアと各地の在来線との結節機能を強化し、「二地域居住」「二地域生活・就労」等の新ライフスタイルを促進させる。都市と農山漁村を日常的に行き来するだろう。九州や東北、北海道にはアジア、欧州に開く「国際ゲートウェイ」としての機能が期待されている。『大東名阪』と西・北の「国際ゲートウェイ」連結で更なる相乗効果を見込む。
全体的な国家予算感としては少なめであるが、日本国民の生活にとって最も多大な影響を与えるプロジェクトである事には間違いない。後、三十年後に完成型を目指すものの、品川・名古屋間は後十年。国際的機能とものづくり(宇宙等)の連結準備、新ライフスタイルの準備を急がれたい。尚、予算案を審議する常会は二十日から。
画像引用:国土のグランドデザイン2050~対流促進型国土の形成~/国交省
撮影:金剛正臣
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