経団連No.2で野村財閥No.1の古賀信行が語る企業戦略|ダイバーシティ・マネジセミナ

【ビジネス・社会ニュース】 平成二十九年一月十九日に東京・大手町にて、財界筆頭の経団連(会長:榊原定征)と内閣府(総理:安倍晋三)は『ダイバーシティ・マネジメントセミナー』を開催した。本セミナは二十四年から実施しており、本年は昨年から百人程増えて二百八十人となり、ダイバーシティに対する興味関心が上がってきている事を証明した。大阪では二月三日に開催する。


基調講演では、同連合の副会長で野村HD(8604.T1)及び野村證券の取締役会長である古賀信行(庚寅)が「ダイバーシティ時代における企業の戦略」を語った。古賀会長は、企業がダイバシティを取り入れるには積極的な要因が必要と説き、野村を“昭和の申し子”と表現しながらも「そんな自社でもダイバシティを考える。」と時代の流れを伝え、ダイバシティへの取り組みが遅い企業は時代に遅れる点を暗に示した。ダイバシティの達成ポイントは、働き手の実感と豪語。経営陣のリーダシップは勿論であるが、働き手の実感を重要視した。




<日本の人事>

 古賀会長は時代の流れを観念の切り口で伝えた。高度経済成長期は金太郎飴の様に単一組織が強く、ボリュームが大きければ収益が上がる。「一番良いな、と言われる社員は『何でもやります』という社員であります。」と述べ、やる事が決まっていた時代とした。現代はジェリービーンズの様に多様で「『何でもやります』という社員は頼りないな、と。使用者サイドから見ても、もうちょっと自分から考えないのか、という目線で見られる様に変わってきたと思います。」と観念の変化を語った。


またダイバシティを知らず知らずに阻む要因として、日本企業の人事を挙げた。日本の人事は潜在能力を加味して職位や賃金を決める前払い。古賀会長は能力の発揮や顕在化時に、職位や賃金を考えるべきとした。そして、その様な実力主義が満ち満ちている組織に、優秀な人材が集まると。ダイバシティを阻む企業の垢を取り除く視点を伝えた。更にここでも「普通に扱われていない人が、普通を実感する事。」とダイバシティの極意を重ねた。



自身の偏見に気づけるか

 ダイバシティの中核ともいえるLGBTでは、野村の例を挙げた。味方を意味する「LGBT Ally」の活動が奏功しており、具体的には自身のデスクに「LGBT Ally」のシールを貼る。ポイントは自然発生的に、詰まり自主的にシールを貼る事が大切とした。LGBTは十三人に一人ともいわれ、苗字「田中」「佐藤」と同程度の確率で身近だ。LGBTの市場規模は六兆円。


最後に古賀会長は、ドイツの理論物理学者アルベルト・アインシュタイン(乙卯)の言葉をスライドに写した。

常識とは十八歳までに身に付けた偏見のコレクションである

『ダイバーシティ・マネジメントセミナー/㈳日本経済団体連合会、内閣府』

撮影記事:金剛正臣

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