【ビジネス・社会ニュース】 平成二十九年一月十九日に経団連(会長:榊原定征)と内閣府(総理:安倍晋三)が開催した『ダイバーシティ・マネジメントセミナー(既報)』では、パネル ディスカッションが行われた。
パネリストはサトーHD(6287.T1)の代取・松山一雄、ANAHD(9202.T1)の完全子会社である全日本空輸(代取:篠辺修)の取締役・河本宏子(写真上)、SOMPOHD(8630.T1)の完全子会社である損害保険ジャパン日本興亜(代取:二宮雅也、西澤敬二、高橋正美、佐藤史朗)の執行役員・笠井聡の三名とファシリテータに法政大の教授・武石恵美子の計四名。
積極的にダイバシティに取り組む上場三社の株価は直近五年間でおよそ二.四倍、一.四倍、二.三倍に上げた(報道現在)。各社のダイバシティへの取り組みを先ず聞かれ、松山代取は「(その企業の)トップが本気なのか。」と代取自らが率先している点を強調した。笠井執行役員(写真上左)は十五年に「女性活躍部」が発足し、会社として十年以上もダイバシティに取り組んでいる点を伝えた。後、三年で女性の管理職率を三割に引き上げる目標を掲げている。
<ディスカスとは討論する事>
取締役会が特に気にする“経営的な効果”と課題に焦点が当てられた。松山代取(写真上)は大企業病を指摘。「現場力の前提は感受性だと思うんですよね。壊す事を奨励。壊したら褒める。」と、大企業内に取り巻く空気を変える課題を挙げた。河本取締役は自社の執行役員四名が女性で、グループ企業の内、五社が女性トップである点を挙げ、経営的な効果に結びついていると自負。笠井執行役員は、「過去の成功体験をどう変えるか。」と課題を挙げた。“経営的な効果”について、内容が薄く何がしかの指標が求められるだろう。
このパネル ディスカッションは、討論と言うよりは各社の取り組み説明会であった。三百名近くが聴講していたが、如何ほどに満足したであろうか。詰まり、経営戦略に活かせるだろうか。株式会社の命題は利益を追求する事である。利益の為の組織である。故にダイバシティの導入により、何の生産性が上がり、当期純利益を向上させるのか。この点を無視すれば、単なるお題目でしかない。
日本最大の経済団体「経団連」の両肩には、ダイバシティ導入の逸早い経営的説明が問われる。
『ダイバーシティ・マネジメントセミナー/㈳日本経済団体連合会、内閣府』
撮影記事:金剛正臣
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