子どもと大人の人生を一変させる『キャリア・パスポート(仮)』が本年度から調査スタートへ

【社会考察】 厚労省(大臣:塩崎恭久)と文科省(大臣:松野博一)は「平成二十九年度 概算要求」にキャリア関連の予算を大いに盛り込んだ。その中でも『「キャリア・パスポート(仮称)」普及・定着事業』は社会を一変させるインパクトを有す。予算額は四.一千億円。


小中高生が対象だ。次期の学習指導要領の実施に合わせて、早ければ本年度より「キャリア・パスポート」導入に向けて調査研究する。当初は児童の学習を時系列的に記録していくものだが、実際は現行の「ジョブ・カード/厚労省」の刷新版となる。日本生産性本部(代表理事:茂木友三郎)は顔写真付きの「キャリア・パスポート」に記載する情報として、下記を挙げている。運営主体は政府ないし地方自治体等を想定。


  1. 氏名・住所(未来はマイナンバを含むか)
  2. 学歴
  3. 職歴
  4. ボランティア・社会活動
  5. 学習歴(本年度の予算の対象)
  6. 興味・関心(SNSアカウント等も含むか)
  7. 仕事を通して身につけてきた能力
  8. 仕事への姿勢
  9. ボランティア・社会活動を通じて身につけてきた能力
  10. 相談経緯



<スーパーIDの影響力>

 「キャリア・パスポート」を一重に言えば“スーパー履歴書(ID)”となり、「マイナンバーカード/総務省」に匹敵する最重要な身分証明証となり得る。本年度は厚労省と文科省だがビジネス情報がある以上、経産省(大臣:世耕弘成)も「キャリア・パスポート」の情報を共有するものと推定できる。マイナンバーと連結すれば、納税履歴等も一意に政府が把握できる。


平成二十九年一月十七日に『平成二十八年度キャリア教育推進連携シンポジウム/経産省、文科省、厚労省』を開催。同シンポジウムでは、「キャリア・パスポート」に関する討論も行われた事を「大人もキャリア教育を、育むべき資質・能力」で報じた。米国の事例を通じ、進学や就職に「キャリア・パスポート」が人生を左右する点を示した。


=観測=

 「キャリア・パスポート」を先ず、本事業で小中高に普及させる。次は大学入試を通じ、大学へ普及。その次に就職活動を通じ、官民へ普及。この時点で経産省と総務省の参画が見込まれ、全国普及が図られる。転職や起業、融資、選挙(立候補)等の国民の人生に「キャリア・パスポート」が影響し、国民の働きと学びがDB化される。


これは悪までも観測だ。

子どもの大学入学には、小中高の学習履歴が影響する事は間違いない。“公的内申書”とも云える。小中高時代の履歴(上記の二、四、五、十に相当)に消極的、極度な汚点があれば、その子の未来は暗い。逆に積極的な履歴であれば、その子の未来は明るい。詰まり、学校内での姿勢はもとより、家庭内での親の教育が「キャリア・パスポート」に実質的に記される事になる。親の教育力が子の優れた「キャリア・パスポート」を創るのだ。


大学普及時には、その子の実力が履歴に残る(四、五、六、九に相当)。就職時に求められるものを考えれば、親の的確なキャリア形成に関する指導が重要であろう。就職後には働き手としてのキャリア形成(全項目に相当)に邁進する事になる。




何を気にすれば良いのか

 仕事に面では、どんな職場でどんな仕事をしたのか、仕事への従事は積極的か消極的か、辞めるまでの期間と理由、その仕事で何を得たのか等。プライベートの面では、ボランティア等を行ったか、それを通じて何を得たのか、趣味で高じたものは等。学習面では、大人になり新たに・再び何を学んだのか等。人間関係面では、誰にどんな相談をしたのか、交友にどんな人間がいるのか等。


これは悪までも観測だ。だが、小中高の子をもつ親は即、対応しなければならない。本年度から調査が始まるのだ。全国七ブロックから其々三自治体を文科省は選定する予定だ。大学普及段階では、親を含む大人も自身のキャリア創りに対応(キャリア・プランニング)しなければならない。全国普及はマイナンバー時の様に瞬時。

「キャリア・パスポート」が死生に大きく関与する。心されたい。


画像引用:Career Passport キャリアパスポートの イメージ図/㈶日本生産性本部

記事:羽田野正法×撮影:金剛正臣

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