【教育報道】 令和三年十一月二十三日まで埼玉・大宮公園「県立歴史と民俗の博物館」にて特別展『埼玉考古五十選』を開催している。
同県では三.五万年前の「旧石器時代」から「近代」に至る数多くの遺跡が調査されてきた。同県にて出土した考古資料を厳選して紹介している。本展では、県外の博物館等に所在している資料の一部も里帰りしている。多くの考古資料の中から、重要文化財や県指定文化財等の特に貴重な価値の資料を公開。
記者が取材に訪れた際には、シニアだけでなく、男女の若者や小学生未満の家族連れを多く散見。大宮駅も近い大宮公園ともあり、年齢を問わずに知見を深めていた。注目は縄文土器だが、特別展は近代までの日本を一挙に観て回る事ができる珍しい展覧会。武士発祥のエリアとして「鎌倉時代」のボリュームは多かった。
<ファッションと武士>
現在の埼玉県に人々が住み始めたのは、今から三.五万年前の「旧石器時代」。この頃、東京は海の下であった。特別展では「縄文時代」の土偶十六点、「古墳時代」の埴輪十四点を始めとした、総数九百点以上のバリエーションに富んだ資料を時代別に並べた。
意外であったのは「縄文時代」から「古墳時代」のファッション。既に当時よりファッションの概念があり、“ピアス”を作っていた。女性を煌びやかに魅せる為に、色合いも想像以上に鮮やかであった。特に“勾玉”に関しては、現代と遜色が無い程に精巧な作りの翡翠(ヒスイ)であった。
時代は下って武蔵武士「鎌倉時代」の見所は、各書物と鎌倉幕府を創った「源頼朝」像だろう。その漆黒の頼朝像は、時の朝廷に幕府を認めさせた圧倒的な人間力を感じる事ができる。他にも漆黒の「上杉謙信」像等もあった。
三万年以上の長い日本の歴史を一挙に概観できる特別展。じっくり、しっかり観覧したいならば、三十分では全く足らない。最低でも一時間は欲しい。
武蔵一宮
また、大宮公園には武蔵一宮『氷川神社』がある。天皇陛下が元旦に宮中にて行う儀式「四方拝」で遥拝される神社の一つが氷川神社。首都圏に約三百ある氷川神社の総本社。
武蔵とは武蔵の国。東京・埼玉・神奈川(川崎、横浜)のエリアを指す。一宮(イチノミヤ)とは、そのエリアの中で最も格式の高い神社。
祭るは 海嵐神「須佐之男命(スサノオのミコト)」。縄文・弥生時代に西日本を制していたとされる一族の長。太陽神「天照大神」と月神「月読命(ツクヨミのミコト)」は姉兄。祭りに並ぶはスサノオの妻である農耕神「奇稲田姫命(クシナダひめ)」と国造りの神「大己貴命(オホアナムチのミコト、大国主神)」。
記事:金剛正臣
画像:埼玉県立歴史と民俗の博物館、武蔵一宮 氷川神社
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