百二十年ぶりに民法改正、現代版は二〇二〇年から施行か

【政治報道】 平成二十九年五月二十六日に、一八九常会で提出された閣法六十三号『民法の一部を改正する法律案』が、民進党・無所属クラブ以外の会派の賛成により可決した。報道現在は一九三常会である。六法の一つである民法の改正は、明治二十九年以来で百二十年ぶり。


改正の理由を、社会経済情勢の変化より、消滅時効の期間の統一化や法定利率の変動、保証人の保護、定型約款の契約書化等への必要性だ。『改正民法』の施行は三年後の見通し。以下にポイントを指し示す。



意思能力・錯誤・第三者の詐欺

 三条の二に「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。」と意思能力を明記した。


錯誤は、九十五条で「意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。」と改めた。[意思表示に対応する意思を欠く錯誤]と[表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤]の二号を記した。


詐欺・脅迫に関しては第三者の詐欺、第九十六条第二項の「知っていた」を「知り、又は知ることができた」に改めた。


代理権消滅後の表見代理(百十二条)では、代理権消滅につき善意の第三者へ、代理権の付与者が責任を負う旨を規定。

取消しの効果(百二十一条)に新たに原状回復義務を追加した。

条件の成就の妨害(百三十条)では、不正な成就者に対し、成就しなかったものと見做す事を追加。




時効の完成

 百四十七条は「裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新」に改めて、時効が完成しない終了事由を、裁判上の請求・支払督促・和解調停・破産再生更生手続の参加の四類とした。また強制執行・担保権の実行等も終了するまで時効は完成しない。


百六十六条は「債権等の消滅時効」に改め、債権の時効は権利行使を知った時から五年、権利行使の可能時から十年となった。また財産権(債権・所有権以外)は権利行使の可能時から二十年。損害賠償の請求権は二十年に。判決で確定した権利は変わらず十年。


電子記録債権も三百九十八条等に追記され、現代に合わせた。




新法定利率

 四百四条の法定利率は年三㌫へ減った。だが法務省令により、三年毎に変動する事ができる。その時点から六年前の「短期貸付け平均利率」が基準の一つとなる。


履行遅滞(四百十三条)につき、二項として履行不能(当事者双方への責めが不可な事由)を債務者の責めに見做すと付加。また債務者の履行を債権者が拒否し、履行不能(当事者双方への責めが不可な事由)に陥った場合は、債権者の責めと見做すを付加。


債務不履行による損害賠償請求(四百十五条)は、債務者の不履行時と債務履行不能時(社会通念以外)の二種になり、債務者が履行拒絶の意思を明確に表示時と契約解除(債務不履行を含む)時も明記した。更に四百十六条二項の特別事情の損害につき「予見し、又は予見することができた」を「予見すべきであった」に改め、当事者の義務とした。


損害賠償の方法に四百十七条の二を追加。内容は、将来の利益について利息相当額を控除する時は賠償請求権が発生時の法定利率とする事。


共同保証人間の求償権(四百六十五条)には詳細を付加。特に主債務者が事業の為の根保証を委託する際に、財産・収支の状況や主債務以外の債務の有無、金額・履行状況といった情報提供を義務(十)とした。




契約自由の原則を明記

 三章(債権)の一章に「七節 有価証券」を付加。五百二十条以下の一款では指図証券の譲渡の効力等を定義し、四款まで定めた。


同編二章に、五百二十一条として「何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。」、二項で「契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。」を明記。また五百二十二条では契約成立を、内容の表示・申込の意思表示・相手方の承諾と付加。そして書面作成等を原則、要しない点を記した。


催告によらない解除(五百四十二条)では、契約解除の種類を示した。債務の全履行が不能、債務者の全履行の拒絶、残存部分では契約目的が未達(債務履行の一部不能か債務者の一部履行の拒絶時)、債務者の不履行(特定期日)、催告後に目的達成の見込みがないの五種類。


定型約款の合意(五百四十八条の二)では、定型取引の合意で個別条項へも合意したものと見做すとした。定型約款を予め、契約内容である主旨を表示していれば、良い事になる。


不法行為による損害賠償請求権の消滅時効(七百二十四条)では、知った時から三年で変わらず。しかし二項で生命・身体を害する不法行為の場合は、五年となる。


尚、改正民法の施行は、公布日から三年以下とした。


記事:羽田野正法

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