中小企業が備えるべき訴訟対策の人事評価|あしたの働き方改革シンポジウム2017

【ビジネス報道】 平成二十九年七月十九日に東京・大手町にて、あしたのチーム総研(代取:高橋恭介)は『あしたの働き方改革シンポジウム二〇一七』を開催した。経営者が多く参加した。高橋代取(甲寅)、五輪銀メダリストの元マラソンランナ・有森裕子(丙午)、弁護士ドットコムの代取・元榮太一郎(乙卯)参議、ワーク・ライフバランスの小室淑恵(乙卯)代取等が登壇し、働き方改革について語った。


トップで基調講演を行った高橋代取は人事評価制度をテーマにした。同社は人事考課ではなく、人事評価と称する。考課より評価の方が範囲が大きく、人材育成の観点では後者となる。高橋代取は集団管理から個別管理への移行が必要で従来型の人事評価制度からの脱却を説く。優秀な社員が辞めた理由・原因のトップは「給与と頑張りの連動がない事(同社調査)」となり、給与と頑張りの連動が離職率低下・人材確保の鍵と考える。


残業削減では特に「効率的に仕事をして定時退社」を会社がプラス評価してない現実を強調した。これも優秀な社員の離職理由となるだろう。併せて経営環境の変化についても伝えた。残業時間は八十時間/月で労働基準監督署の立ち入り対象化や残業時間の上限設定、インターバル規制の導入、同一労働同一賃金、中小の賃上げ進行を話した。




<裁判所は違法労働には相当厳しい>

 最も高橋代取の語気が強かった部分は、訴訟。裁判のトレンドが過払い返還請求から「未払い残業代請求」に遷移してきており、弁護士事務所も当該請求を謳い始めてきている。労働審判制度により労働者が勤めていた企業を訴えやすくなった。この制度は期日三回で解決する。早い。制度の導入から十年経つが電通問題等により本制度の知名度が向上。高橋代取は大阪高裁の判例を挙げた。六ヶ月間の時間外労働が約六十二時間/月で男性が死亡し、二億円近い損害賠償を求められ、和解金を企業が支払った事件だ。


現況の中小企業は人出不足、賃上げ、時間外労働の規制、労使紛争の激化、社会保険料の負担増の五重苦と断言。人事評価が経営の背骨となっている。同社は人事評価につきクラウド型の「ゼッタイ!評価Ⓡ」を提供しており、運用まで力を入れている点を強みとする。導入企業は千社を超えて過半は従業員数が三十名以下の小企業・零細企業。従業員ゼロでも企業評判を防衛する為に先行して導入する企業もいるという。


またクラウドベースの人材プラットフォームを運営するCYDAS(代取:松田晋)とも業務提携を行う事を十九日に発表した。二十日には「あしたの働き方改革シンポジウム二〇一七 レポート集」も初めて公表した。


=解説=

 司法の場においては法的証拠が欠かせない。あらゆる労使の事件において、人事評価も含めた労働者の客観的記録が裁判を左右する。大企業群は既にリスク マネジメントしているが、中小・零細企業には危機意識が乏しい。訴えられても勝てる証拠づくりは欠かせない。一度、訴えられて敗訴すれば、損額賠償額の多寡で経営が傾き、その事実がネットに掲載されると企業の悪評判となる。人は企業の評判を検索する。一度、悪評判がネットに上がると人材を集めにくく、離職にも拍車が掛かる。


法的証拠を備えられたい。


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撮影記事:金剛正臣、解説部:羽田野正法

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