【ビジネス考察】 モンスター ペアレント、モンスター クレーマー、モンスター ペイシェント。モンスターと冠するモノに、また新たにモンスター社員が付加された。会社内に存在すると企業は大きなダメージを損害賠償等のカタチで被る。人材から人財への転換が急務だ。平成二十七年十月三十一日に夕刊フジが記事「企業に潜む“モンスター社員”のリスク 旭化成建材、傾斜マンションの元凶 」を公開した。旭化成建材(代取:前田富弘)の事件の根本的な原因を指摘する。
| 想像力が欠如し、モラルが極端に低下したモンスター社員のリスクは、どの組織にも存在し得る
モラルが極端に低下する原因の一つに企業、取締役会の姿勢が関係する。通常、社員は少なからず仕事に対し忠実であろうとする心構えがあるが、取締役会がおざなりであれば、社員のモチベーションは下がる。取締役会がヒトを大切にしないのであれば、ヒトがグレるコトは致し方がない。取締役会の姿勢は社員と比例する。
<広報をみれば分かる>
行政を例にとろう。FP姫は自治体の長に取材で接触するコトがある。自治体の長は比較的、好印象で積極的な姿勢を大抵はもっている。しかし長の窓口である広報の仕事の意識が低い、一般ビジネス的に問題のある自治体は多い。ここは長が締めるべきであろう。広報課は上位に位置するので、その下部の役人に大いに影響する。警察組織は典型的だ。末端の巡査等の地方公務員はお巡りさんとはいえない程、手続き的で無気力だ。市民を守る姿勢はみえない。役所の窓口は、手早く待たせずに手続きを処理しようとみえない。
大企業は通常、広報が手堅く、しっかりしている。中には分かり易い程、ビジネスの程度の低さを感じる広報も大企業内にある。大切なコトは取締役会が前向きに真摯な姿勢で、外向きの広報・広告と内向きの人事等に対し躾けを教育しているか、という点であろう。
<個人の自由の弊害>
ヒトは躾けをされなければ、物事が分かる筈もない。注意してくれなければ、過ちに気づかない。ソレは至って普通のコト。“言ってもらえるうちが花”なのだ。但し、現代は言ってもらえない。個人の自由の尊重が盾にある。会社での仕事も彼等にとっては自由なのだ。この社会風潮を取締役会は理解すべきだろう。会社の決め事や流れより個人の自由を最優先にする。
そう育てた親がいる。彼等を指摘すれば、パワハラの烙印が待っている。冷静に優しく伝えれば、情熱等は伝わらない。モンスター社員はトレードオフの関係に成ってしまっている。情熱がなければ、良い仕事は適わず社員のモチベーションが下がりモンスター化し始める。冷静さがなければ、社会悪と見做され訴えられる。
ビジネスはヒトだ。そのヒトが躾けに値するか否かを始めに判断し、組織体を変えていく。これが地道で堅実なリスク管理であろう。日本人で唯一、経営の天才と呼ばれる松下幸之助は「若さに贈る/PHPビジネス新書」で責任について綴った。
| わたしはそれぞれのひとの責任に対する自覚が本当にできたならば、自分の責任はいのちをかけても負う、あるいは果たすという真剣さが、そこに生まれてくると思うのです
責任逃れを上がすれば、下は当然にする。
(了)
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