既に“脱成長”していた日本|令和二年度『国民経済計算年次推計(フロー編)』

【経済報道】 令和三年十二月二十四日に内閣府(総理:岸田文雄)は、令和二年度『国民経済計算年次推計(フロー編)』を公表した。


国民経済計算は、平成二十年に国連勧告の国際基準(二〇〇八SNA)に基づき、一国全体のマクロの経済状況をフロー面(生産・分配・支出・資本蓄積)やストック面(資産・負債)から体系的に明らかにする事が目的。


十五年前の同十七年度のデータも掲載してる為、中長期で大きな推移を視る事ができる。令和二年度のGDPは五百三十五.五兆円。平成十七年度の五百三十四.一兆円と比べて一.四兆円増えた(〇.三㌫の増)。政経は一体である。書籍『人新生の「資本論」/斎藤幸平』曰く、脱成長をこの十五年で日本国民は既に体現していた。


インフレ・デフレを判断できる一つの指標「GDPデフテータ」は、平成二十六年度よりプラス圏内。同指標上では、デフレを脱却している事になる。


昨年より着眼されている「労働分配率」は、同二十七年度より上昇傾向。令和二年度には、実に七十五.五㌫まで引き上げた。それでも国民の所得に上昇感が無い理由として、労働分配率の分母である「企業所得」の鈍化が挙げられる。平成二十八年度より「民間法人企業所得」の伸び率が低下傾向で、令和に入ってからは▲十㌫台をマークしてしまっている。各取締役会に問題が有る。民事不介入的な政府の問題とは言い難い。


労働生産性を確認する指標として「一人当たりGDP」がある。上図は名目であるが、平成二十二年から人口が減り続けているにも関わらず、一人当たりGDPは、同二十三年を底に四百二十五.九万円まで上昇。八.八㌫の増。


国家間の名目GDPを比較すると、直近十五年で日本国の世界シェアは十.一㌫から五.九㌫まで縮小(〇.六倍)。中国は四.八㌫から十七.四㌫まで拡大した(三.六倍)。米国も含め、G7は直近十五年間で軒並みシェアを縮小させた。インドは一.七㌫から三.一㌫まで拡大した(一.八倍)。


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