危惧すべき革新勢力の誕生ないしWWII下の国家主義の台頭

【政治論説】 若手の欲求が逓減している。無欲へ向っている。これは資本主義経済の危機である。金・富に対する欲求がなければ積極的に労働・ビジネスを行おうとはしない。GDPの増加ないし維持には若手の欲求が欠かせない。若手は挑戦さえも選択しなくなっている。


以前の様な革命運動は起こらない。若手が現在の日本の国家体制を変えようとはしていない。共産主義経済は求められていない。ただ社会主義政治は求められているかもしれない。これは資本主義経済の危機である。そして民主主義政治(民主制)の危機でもある。


現在の若手が中堅、シニアになる頃に今よりも社会主義政治か国家主義政治に寄っているかもしれない。さすれば未来からみて現在は分水嶺となる。


政治には社会主義寄りの左派・革新と国家主義寄りの右派・保守の横軸がある。戦後、国会内において左派は三分の一を占めている。これは中選挙区制から小選挙区制に変わっても配分は変わっていない。一時的に民主党等が政権を獲った歴史はあるが、右派の自民党が大方で勢力を握っている。若手の内で若者は自民党を支持している。資本主義経済を支持しているよりは、社会主義政治を支持してそうだ。


それは極端な社会主義政治ではないにせよ、積極的な労働・ビジネスに精力的とは言い難い。冒頭の無欲に向っている事が原因であろう。安倍政権は数々の立法により国家主義政治である。第二次大戦中も国家主義政治(大政翼賛運動)に走った為に一部の知識階級は安倍政権に警鐘を鳴らす。だが先の衆院選では戦後二番目の投票率と、半分の国民は政治に参加しなかった。それは安倍政権を許容している事となる。


安倍政権は社会主義政治の様に国民分配を意識する。今は幼児教育と高等教育の無償化が俎上に載っている。何も安倍政権だけではない。自民党は予ねてより、社会主義的な分配を行ってきている。国民皆保険は典型的だろう。若手・国民は往々にして許容している。


政治は民の為にある。多数の民が求めている事を実現できるか否かが、政策実現力である。次を担う若手が資本主義経済に対して無欲へ進めば、国力は落ちる。世界一位の米国は完全な資本主義経済。トランプ政権は共産主義的政策を推したオバマ政権とは異なり、資本主義経済を加速させている。二位の中国は事実上の無政府状態(一党独裁)で、共産党が全てを握る資本主義的共産主義経済だ。結果的に習政権は奏功し富豪を輩出し続けている。それは米国も同じだ。


日本の輩出力は乏しい。北朝鮮は経済力で世界的な地位を獲得できないから、軍事力(核)で米国と対等交渉できる様にミサイルを発射する。国の経済力は国家対国家の交渉の場において重要だ。日本は名目的に軍事力を放棄している。ならば経済力しかない。各シンクタンクの予測通りの未来ならば、日本のGDPはインドネシアやメキシコ等に抜かれ、世界的な地位は下降していく。


そうなると、交渉力が落ちるので現在の様な安定した日本社会は維持できない。その時が危険な時期だ。太平洋側を直撃する大震災も必ず起こる。現在の若手が中堅・シニアになる頃、明治維新の様な革新勢力が生まれるか、第二次大戦中の様な国家主義が台頭して民主主義が崩壊しかねない。それは若手が望まない不安定な社会の時代になる。シニアは若手を開放すべきだ。そして若手は安定を獲得したくば、闘うべきだ。

(了)

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