【経済・金融考察】 世界には通貨秩序が敷かれています。当然に日本も通貨秩序を守っています。令和四年時点の通貨秩序は「ドル基軸(ブレトンウッズ2)」。この通貨秩序が『露鳥戦争』と米・民主党政権により、変わろうとしています。これは世界革命クラスです。
三月七日に「クレディ・スイス」ゾルタン・ポズサーの発表した文書に“新しい世界通貨秩序(ブレトンウッズ3)”が書かれました。
若者・若手は世界経済の基本である通貨秩序を知った方が良いでしょう。先ず、「金・ドル本位制(ブレトンウッズ1)」から。以下が国際通貨研究所の定義。
昭和十九年に米国を中心に作られた、為替相場安定のメカニズムです
連合国の代表が米「ブレトンウッズホテル」に集まって決めたので、「ブレトンウッズ(BU)体制」と呼びます。戦前の金本位制に米ドルを挟むもの。各国通貨と米ドルの交換比率を固定、米ドルと金を固定しました。この時にIMF(国際通貨基金)や世界銀行、WTO(世界貿易機関)等が設立。
<平成バブルを産んだBU2>
次に「BU2」。同四十六年に第二次『ニクソン・ショック(ドル・ショック)』が起こります。米・共和党リチャード・ニクソン(癸丑)統領が米ドルと金の兌換一時停止を宣言。それまで日本円は、一㌦=三百六十円の固定相場制でしたが、二年後の同四十八年に変動相場制へ移行。
以下は、大和総研の定義。
長らく「双子の赤字」と揶揄されてきたアメリカの経常収支赤字と財政赤字を、他の周辺諸国(日・中・アジア諸国等)が「グローバル貯蓄過剰」で支える構図を描いたもの
各国通貨の価値は、「経済情勢(経済成長率やインフレ率等)」に応じて都度変動。「平成バブル」の原因となりました。このBS2が現在まで続いています。
BU3=金・商品
では、「BU3」とは何でしょうか。日経はそれを「商品(コモディティ)・人民元の台頭」とします。
米国は経常収支の赤字が続くが、ドルは基軸通貨なので、海外勢による米国債の購入という形で、資金は自動的に還流してくる。これが「ブレトンウッズ2」の要である(三月二十七日付け)
先のポズサーは「この危機は、一九七一年にニクソン大統領(当時)がドルとゴールドの交換を停止して以降、我々が経験してきたものとは違う。」と断言。
その理由は、二月二十六日の米・民主党バイデン政権とEUによる露・外貨準備への凍結制裁。米ドルが無価値になるという実例をバイデン政権が創ってしまった事実にあります。SWIFT排除は“金融の核爆弾”と呼ばれました。露・中銀は七十兆円の外貨準備の内、半分の三十五兆円が凍結、無価値化してしまいました。これに世界市場は動揺。
三月二十八日にジャーナリスト・福島香織(丁未)は、記事『中国・習近平、じつは「金、石油、穀物」をひっそり「爆買い」している危ない事情/講談社』にて「リスクフリーと思われていた外貨準備の信用リスクが一瞬で崩壊したという訳だ。」と説明。
今後は「外部通貨(金とその他商品)>内部通貨(米国債等)」となる可能性が大きくなりました。重ねて香織記者は、以下も指摘。
欧州、カナダ、英国、日本もこのロシア中央銀行の備蓄資産凍結に参加した。
という事は、「如何なる外国当局も自分達の通貨資産を凍結する事ができるのか?」という疑問が出てくる
ドル建て外貨準備に無価値のリスク
BU2では米国そのものが安全資産でした。併(シカ)し、民主党バイデン政権により、事実上のフリーハンド状態に陥ってしまいました。例えるならば、個人で所有する外貨資産が米・民主政権の一声で紙屑どころか、無価値(利用不可)になってしまう。この様な感情論は危険過ぎるでしょう。
日中両国は各百五十兆円以上の外貨準備「米国債」を有します。日本が世界首位で米国債を保有(報道現在)。米・民主政権の気分次第で百五十兆円以上が無価値になるリスクを負ってしまいました。当然に、その際には日本国民も甚大な被害を受けます。
よって、世界は安全性の高い金・商品(石油・食料等も含む)を主体とした通貨秩序「BU3」へ移行しようとしています。既に中国は、米国の二倍から三倍の金等を保有との情報もあり、日本国民も含め、ポートフォリオを形成し直す必要性があるでしょう。
BU2迄は“貸借(債権・債務)関係”でしたが、BU3は現物主義となります。そして米ドルの弱体化は、人民元の躍進可能性を包含します。昭和四十六年からの世界経済は間違いなく、これから変わります。
記事:京泰正法
画像:バイデン氏、プーチン氏へ「権力の座にとどまるな」 ポーランドで演説/毎日新聞、「ブレトンウッズ3」の足音 せめぎ合うドルと商品/日本経済新聞
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