自民が改憲で挙げた四項目、歴史的転換期へ

【政治考察】 平成三十年一月二十二日の常会召集の前に改憲への機運が高まっている。安倍晋三(甲午)内閣総理大臣は二十九年五月三日の憲法記念日に「公開憲法フォーラム」でのビデオメッセージで、総裁として改憲への流れを強くした。改憲発議は本年か来年と報道各社も予想する。


自民党は十二月二十日に『憲法改正に関する論点取りまとめ』を発表。PDFで三頁。党の存在目的である改憲の為に今迄で昭和四十七年の「憲法改正大綱草案」、五十七年の「日本国憲法総括中間報告」、平成十七年に「新憲法草案」と二十四年の「日本国憲法改正草案」で試案を国民に問うてきた点を並べた。一昨年からの自民党の憲法改正推進本部は改正項目を検討し、四項目に絞った。

まさに今、国民に問うにふさわしいと 判断されたテーマとして


それは以下である。

  1. 安全保障に関わる「自衛隊」
  2. 統治機構のあり方に関する「緊急事態」
  3. 一票の較差と地域の民意反映が問われる「合区解消・ 地方公共団体」
  4. 国家百年の計たる「教育充実」


「シビリアンコントロール」も憲法に明記すべきとの意見があり、一は二つの方向性を示した。「九 条一項・二項を維持した上で、自衛隊を憲法に明記するにとどめるべき」 と「九条二項を削除し、自衛隊の目的・性格をより明確化する改正を行うべき 」だ。前者と後者の違いは自衛隊が国家機関となるか否か。日本国憲法が定める国家機関は国会・内閣・裁判所の三権。最高裁判例により、四権目は報道。前者の場合は自衛隊ないし国防軍が五権目と成り得る。


その他のテーマも各党各会派から具体的な意見・提案があれば真剣に検討するとし、建設的な議論を自民党は進めたい。


改憲は国会での発議をもって可決された後に国民投票に移る。国民が通常の選挙と同じ様に個々で考え投票する。通常の選挙と異なり、国民投票は投票総数の内で賛成投票数が二分の一を超えた場合に改憲となる。投票に参加しない国民の意思はカウントしない。



<角栄型政治からの転換>

 現在の日本及び世界は変革の過渡期である。少子高齢化やグローバル化へのブレーキ、第四革命と一つの時代が変わろうとしている。現在の日本は作家・佐藤勝(戊辰)も表現する通り、昭和四十七年から続いた「角栄型政治(日本型社会主義)」である。高度経済成長後の平成バブルに寄与した。だが、その後はアベノミクスまで右肩下がりとなっていた。


安倍政権は社会保障や働き方、教育、人生等の分野で矢継ぎ早に国の仕組みを変える施策を打ち出し、「日本を取り戻す」と国へ奉仕する。確かに株式市場や富裕層のみだが流れは上昇基調になった。下だけが潤う事は有り得ない。この経済的な流れを強くした結果、努力する国民がより報われる様に試みている。その起爆剤(ブースタ)が改憲だ。


そもそも新旧憲法を繋いだ内閣を担った日本自由党・吉田茂(戊寅)第二代総裁は、実質的な参謀の白洲次郎(壬寅)の考えに同じで初期は早めに改憲する予定であった。改憲機会は自民・鳩山一郎(癸未)初代総裁が昭和二十年台の自由党の時に仕掛けてから、三十年代の岸信介(丙申)第三代総裁、四十年台の小説家・三島由紀夫(乙丑)をもって萎む。


平成十八年に安倍総理が行った所信表明演説では、五十一年振りに改憲に関する発言があった。鳩山総理以来である。今回の機会を逃せば、次は何十年後か分からない。


撮影記事:金剛正臣

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