【ビジネス報道】 平成三十年二月二十一日に東京・恵比寿にて、パーソナルキャリア(代取:峯尾太郎)は『CAMP佐藤 裕×西野亮廣さんスペシャルイベント ~信用の時代を生き抜くキャリア形成とは?~』を開催した。大学生等の就職に臨む若者二百名が集まった。
新卒で入社した社員の三割が三年以内に離職する原因である、企業と新入社員間で起きるミスマッチ。各企業が「働き方改革」に向けて具体策を導入し始める中でミスマッチが齎す若手社員の働く意欲の低下は、改革機運を阻害しかねない重大な問題だ。
ミスマッチが起きる最大の要因は日本の旧態依然の「就活」にあると考え、“はたらクリエイティブディレクター”の肩書きを持つ佐藤裕が、若年層向けキャリア教育支援プログラム「CAMP」を二十七年に立ち上げた。佐藤ディレクタは同社で新卒採用責任者を務め、「デジハリ大」では現代社会学と社会経済学を担当する。
従来の就活のあり方を学生視点で見直していく事を目指し、過去三万人の学生が参加した。今回のイベントは、三月の就活本番スタートを目前に特別編として開催。当日は、佐藤ディレクタと芸人で絵本作家の西野亮廣(庚申)が講演した。西野の著書「革命のファンファーレ/幻冬舎」はアマゾンの「ビジネス・経済書」のランクインし、報道現在で首位。著書でも触れている次代のキャリア形成について話した。その場で学生から質問を受付け、直接アドバイスも行った。
<人の挑戦を止めるのは一にお金、二に広告>
西野は「お金、広告に音痴のまま社会に出される。」と前置き。教育課程に含まれない内容を社会で実践しようにも無知では戦う事ができない。「お金を捻出できなくなった瞬間とファンの獲得やブランディングの構築ができなくなった瞬間に、人は挑戦を諦めてしまう。」と指摘。芸人として一時、人気者の一人となった西野だが「先輩方が敷いたレールを走っているだけでは追い付かない。ごぼう抜きする為には違うレールを走ろうと、絵本を作り始めました。」と既存のルートから外れた。
どうやったら物が売れるのか。西野は自身の体験を振返って「作品は買わないが、思い出にはお金を払う。」という法則を発見。演劇パンフレットや旅行先の工芸品は物としてではなく、体験のお土産として購入する。その法則に則り絵本をお土産にすべく、四作目の絵本「えんとつ町のプペル/幻冬舎」で“実験”をした。
「原画の貸出しを無料にして、様々な所で原画展を開いて貰いました。そうしたら凄く売れた。詰まり『プペル』は絵本として売れた訳ではなく、原画展のお土産として売れた訳です。『プペル』は書店やウェブ書店でも購入できますが、本丸は個展会場でした。」と、展示会を思い出として絵本を「お土産」に置き換える事に成功した。同作は三十万部を突破。映画化が予定される程の作品となった。
クラウドファンディングは金のなる木ではない
クラウドファンディング(CF)の話しに移り、西野は「僕、日本でCFが一番上手い。」と宣言。その理由を「『金のなる木』ではない。TVタレントがCFに挑戦して失敗した例は幾らでもあります。『お金とは何か?』『CFとは何か?』が分からないと勝つ事はできない。お金とは信用を数値化したものであり、CFとは信用をお金に両替する両替機です。」と持論を展開。「信用持ちは現代の錬金術師。」と西野は語る。
「信用を築く為には嘘をついてはいけない。例えばグルメ番組で美味しくないものを美味しいと言ったら、もう駄目。ベッキーはグルメ番組やバラエティで良いコメントしかしていなかったから、認知はあっても信用は無かった。でもベッキーを擁護すると、嘘をつかざるを得ない環境にいると空気を読んで嘘をついてしまうんです。僕は信用を重ねたいと思った時にスケジュール帳を開いて、嘘をつかなきゃいけない仕事を全部断りました。」と、思い切った行動を起こした旨を明かした。
社会では嘘をつく必要があるのではと、就活生からの質問を否定した。「嘘をつかない環境を選びましょう。そういう意味でもパラレル キャリアは重要。僕は絵本作家やお笑い芸人といった複数の仕事をやっていて、一つを辞めても違う方で食っていける。だからこそ対等になれるんです」と述べた。パラレル キャリアはP.F.ドラッカーが提唱した働き方。余暇を利用して第二の仕事を行う事。
日本は「仕事への熱意(やる気)がある社員」が六㌫と低く、世界百三十九ヶ国中で百三十二位と紹介。最下位クラスだ。無気力な同僚や命令しかしない上司の中にいる内に、仕事へのやる気が失っていく。西野は「自分がブランドになる事が重要。会社の名前ではなく自分の名前がブランドになれば、会社と合わなくても違う場所に行く事ができる。顔を出して自分のキャラクタを発信する事がリスク ヘッジになります。企業の外にいても強いし、中でも重宝される様になりますよ。」と未来を担う就活生を応援した。
撮影記事:岡本早百合
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