経団連・中西宏明 新会長が賃上げ未遂を大問題と、事業方針も発表

【ビジネス報道】 平成三十年五月三十一日に日本経済団体連合会の新会長に日立製作所の中西宏明(丙戌)代執が総会で選任され、記者会見を開いた。併せて本年度の事業方針として『GDP六百兆円経済に向けて』を発表。副題は「Society 5.0を推進する」。東京大学の工学部を卒業後に名門の米・スタンフォード大を経て大学院にて一年でコンピュータ エンジニアリング学(計算機工学)の修士課程を修了。


中西新会長は第一の課題をS5、第二を構造改革、そして第三を経済外交とした。S5については「メディアからSociety 5.0は分かり難く、報道しづらいと言われるが、この点は是非、乗り越えていきたい。」と述べ、国連のSDGsと軌を一にしている点を強調した。構造改革については、規制と財政の二つの改革を挙げた。経済外交については、「自由貿易体制の中、国として付加価値を保っていかなければならない。」と米中を意識した。


また大幅な賃上げの未遂を「大問題である。」と断じ、「一生懸命努力すれば報われる、更に働く意欲が湧いてくるという循環を作らなければならない。」と成果主義を推した。政府に対しては取捨選択しながら政策提言を行い、経団連も一緒に変わっていく。改憲に関しては九条以外の論点にも目を向け、「時代に合わせて柔軟に考えるべきである。」と述べた。


本年度の事業方針ではS5を第四革命の切り札と前提を置く。重要政策課題は大別して下記の五つ。

  1. 成長戦略の推進(S5実現、都市機能の充実等)
  2. 構造改革の推進(法人税改革等)
  3. 経済外交の推進(インフラ輸出の促進等)
  4. 国家的イベントの成功(五輪、万博)
  5. 震災復興の着実な推進と新しい東北の創生


特に成長戦略の推進には力を入れる。S5の実現の為にイノベーションの促進、イノベーション エコシステムの構築、デジタル技術・データ活用の促進とサイバ セキュリティ強化の四つを分野横断的施策として推進する。重要分野は六つ。電子行政、物流、防災、ヘルスケア、観光と農業。


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