社長・オーナーの住む場所で変わる事業(売上高・所得)

【ビジネス ニュース】 平成二十八年一月五日にビジネスパーソンのタメの総合情報サイト「プレジデント オンライン」で記事{『23区格差』著者が『年収は「住むところ」で決まる』を読み解く!/池田利道(画像引用)}を公開し、“モレッティ論”が東京に当てはまるのかを検証した。結果、東京都という全体規模で観た場合に当てはまるとした。


東京に一極集中が進むのは、働く場所、より高い収入が期待できる場所が豊富に存在しているからに違いない


“モレッティ論”とは、カリフォルニア大学(バークレー校)経済学部のエンリコ・モレッティ教授が著した経済書「年収は住むところで決まる/プレジデント社」内で提言した「イノベーション都市」の高卒者は「旧来型製造業都市」の大卒者より稼いでいる等の理論のコトである。



<「社長の街」の新四天王は港・渋谷・新宿・江東>

 当該記事のポイントは、「全国の所得水準ランキング(市区町村単位)」と「イノベーティブ職の割合(特別区)」を並べている点にある。同著は一昨年に日本語版が刊行され、ハイテク産業と製造業を対比させている。詰まり、第三次産業と第二次産業の対比とも言い替えられる。重要な点は、日米では状況が異なる点である。そして「全国の所得水準ランキング(市区町村単位)」は、旧富裕層が大半を占める。


記事「田園調布→赤坂 社長の住む街、都心シフトのワケ/日本経済新聞(画像引用)」では、この十年で社長が住む街が変わっているコトを、調査「社長の住む街/東京商工リサーチ(画像引用)」を二年を比較し検証した。十年前は大田区田園調布が首位であったが、イマは異なり上位十位以内にも入らず渋谷区・恵比寿の下で二十位以内に辛うじて残っている。世田谷勢は惨敗だ。代わりに港区と新宿区勢が興隆した。


<歓楽街がミソ>

 港区は赤坂・六本木を有し、新宿は歌舞伎町、渋谷は円山町と歓楽街がある点が共通している。転機は平成二十五年の税制改正で、中小企業の接待交際費が年に八百万円まで損金算入される様になったコト。第二次安倍内閣が仕掛けた。バイタリティ強い社長らは、朝まで飲む。飲みながらコミュニティを増やし、仕事の契約の直前ないし締結までもっていく。日本式の最強のプレゼン サイクルだ。世田谷は遠い。タクシー代が連日となると馬鹿にならないのだ。経営者らはこういったコストにうるさい。


次に順位を挙げた江東区は大島と亀戸。近くには墨田区錦糸町があり、西よりもリーズナブルに接待ができる。そして日本人だけでなく、東南アジア・欧州・南アメリカのキャストが在籍する店舗が多いコトも特徴だ。夜の浅草も強さを増している。一方で銀座はどうだろうか。西と東の社長らを連結させる箇所がある。それが新宿二丁目。イマ最もホットな場所であろう。飲みの席の方が日本人は打ち解け易い。だから契約に向う。


<江東区が最強の時代へ>

 最後に、今後十年も新四天王(港・新宿・渋谷・江東)が強いとは限らない。それは上図の「イノベーティブ職の割合」が鍵となる。そうなると港・新宿・渋谷は下位だ。彼等の発想は限界に達し始めている。図では大田・品川・江東が上位三位。大田・品川は羽田空港というインバウンド効果もあり、まだまだ潤いが期待できる。但し、現在は社長が少なく狙い場所でもある。一方の江東は社長も多く、東京五輪のメイン エリアでもあり、豊洲界隈に更なる外国人が住み、十年後はこの国で一番社長が住む街になるかもしれない。


いわゆる「イノベーティブ職」に携わる住人がどれだけの割合を占めているのかのほうが、東京において各区の真の強さを示しているのでは、などと私は考えている
  


区長も重要である。力強い区長は区内を活性化させる。住むだけでは何も変わらないが、歓楽街という社長たちが集まる場所で(自身を売り込む)営業を掛ければ、そのコネクションが社長コミュニティに繋がり、新たなビジネス(イノベーションの種)が期待できる。無論、昼からのアプローチは正当であるが、夜からのアプローチの速度には全くもって叶わない。

(了)

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