損失は十二兆円、経産省の『DXレポート』からみる中小・零細企業の具体的対応策

【ビジネス報道】 経産省(大臣:世耕弘成)は、平成三十年九月七日に『DXレポート~ITシステム「二〇二五年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』を取り纏めて公表した。五月からの「デジタル トランスフォーメーションに向けた研究会(座長:青山幹雄 南山大学 教授)」を立上げて八月までの計四回を開催した後、議論を報告書にした。


本レポートは中小・零細企業にとっても警告の様なものである。DXはデジタル トランスフォーメーションの略。DXを実現していく上でITシステムに関する現状の課題の整理と対応策の検討を行っていた。同省は各企業へ競争力維持・強化の為にDXをスピーディに進めていく事を求めている。何故ならばDXは、企業の生命線だからだ。DXに着手できない企業には衰退が待っている。


先ず研究会は「既存システムの複雑化・ブラックボックス化」と「現場の抵抗」の二つを大きな課題とした。この課題を克服できない場合には、新元号六年以降に最大で十二兆円/年(現在の約三倍)の経済損失が生じる可能性を示唆している。これを「二〇二五年の崖」としている。人材面では、IT人材の不足は約四十三万人にまで拡大するものと見込んでいる。深刻な人手不足だ。


では各社がDXを実現した場合は、どうなのか。新元号十一年までに実質GDPで百三十兆円超の押上げを実現できると踏む。但し、現状では希望的観測に過ぎない。大企業だけでの実現は不可能で、中小・零細のDXが欠かせない。恐らくDXを実現させた二割程度の中小・零細が他の中小・零細の業務を収斂させていくだろう。


DXに向けた課題への対応策は政府として以下の五つを挙げた。

  1. 「可視化」指標、中立的な診断スキームの構築
  2. 「DX推進システムガイドライン」の策定
  3. DX実現に向けたITシステム構築におけるコスト・リスク低減のための対応策
  4. ユーザ企業・ベンダー企業間の新たな関係
  5. DX人材の育成・確保

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