階級社会を認め、国民と行政が対策を

【社会論説】 較差社会から「階級社会」に突入していると警鐘を鳴らす識者がいる。一橋大の河野真太郎 准教授や早稲田大の橋本健二 教授等だ。国民と政府は逸早く、この事実を認め、対策を施さなければならない。


これは危機意識の問題だ。圧倒的多数は格差社会と記す。格差は格の差。較差は数字的な開き。そして現在は階級という明らかな身分の高低を顕す。現に階級は存在している。子どもの生まれ育つ環境、養育費、塾、難関大への高額な授業料、入社、自己啓発のセミナ参加、起業、企業家集団へのエントリ。そして配当所得での生活。


底辺から始まった場合には、上の階級へ行ける確率は大いに下がる。ゼロ㌫に等しい。学生時代の競争、非正規からの正規化、倒産からの再出発。行政は階級社会ではなく、較差社会で対応しようとしている。それも他の媒体の主張を見れば分かる通りに、まだまだフォローが届いていない。それにも関わらず、階級社会を放置すれば、下の階級では荒み、その集団が住むエリアがスラム化に向ってしまう。


これは上の階級にとっても良い事ではない。一般的な公務員は中流階級だ。国会議員等は上流階級だ。その公務員及び上流の国民が下流階級に対して、フォローを考え、実施する事が街の安心を担保する。さもなくば下流階級の叛旗により、上中流も下へ堕ちる可能性を歴史が証明している。


国民全てが階級社会である事を認めて、対策を打てる。併せて下流にも中流へ上がれる行動が必要だ。日本は現状認識を改めなければならない。決して行政に丸投げしてはならない。主権者は国民だ。その主権者が自発的にならない以上、行政、つまりは実質的に国民が雇っている公務員も動かないのではないだろうか。

(了)

0コメント

  • 1000 / 1000