社会保障を削減し、中小企業向けに税投資を|三十一年度『予算政府案』

【政治考察】 政府は、平成三十一年度『予算政府案』を三十年十二月二十一日に閣議決定した。当初予算としては過去最高の百一.四兆円(通常分+臨時・特別措置)となった。


予算のポイントは大別して三つ。「全世代型の社会保障制度への転換として幼児教育の無償化、社会保障の充実 公費+〇.八兆円(国費+〇.七五兆円 」「消費税引上げ分(「臨時・特別の措置」:国費二.二兆円)」「『防災・減災、国⼟強靱化のための三ヶ年緊急対策』の緊急対策百六十項⽬を三年集中(三十年度『第二次補正予算』と合わせて国費ニ.四兆円、三年間の事業規模は概ね七兆円程度)」。


財政の健全化としては、社会保障関係費を⾼齢化による増に収めるとの⽅針を達成(〇.四兆円)、国債発⾏額を七年連続で縮減(三十二.七兆円)、 ⼀般会計の基礎的財政収支(プライマリーバランス)も改善(⊿八.四兆円)。


来年度の各種経済指標は名目GDP成長率がニ.四㌫、名目GDPは五百六十六.一兆円、実質GDP成長率が一.三㌫、消費者物価上昇率は一.一㌫、完全失業率は二.三㌫。

一般会計の財政指標として、一般歳出が五十九.九兆円で臨時・特別措置を含むと六十二兆円。税収は六十二.五兆円で消費増税分は七.九兆円。公債金収入は三十一.九兆円で措置を含むと三十二.七兆円。公債依存度は三十二.一㌫。


 一般会計の歳出総額の内、「社会保障」に三十四.二㌫を費やす。次ぐ「地方交付税 交付金等」に十六.一㌫、「公共事業」に六.一㌫、「文教及び科学振興」に五.四㌫、「防衛」に五.二㌫、「その他」が九.三㌫。残る二十三.六㌫は「国債費」。「社会保障」は昨年度よりも三㌫も増えた。一般歳出の中では一番の伸び率である(予備費を除く)。


消費増税に関して、先の措置により経済影響はニ兆円程度と予想。更に追加の対策としてニ.三兆円程度の措置を講ずる。



超高齢化の日本では「社会保障」が年々増していく。この問題に対処しなければ、子どもや若手・中堅に投資できない。政府は薬価改定や介護納付⾦の総報酬割の導⼊等を実施。科研費については、研究⼒向上に向けて将来の学術研究を担う若⼿へ配分を⼤幅にシフトしつつ、充実させる。外交・防衛は一.一㌫の伸びで東アジアの驚異に備える。


併せて『新経済・財政再生計画 改革工程表二〇一八』では、「社会保障」分野として地域医療構想の実現に向け、知事権限の在り⽅について検討。保険加⼊者の性・年齢で調整した標準的な医療費を基準とする議論や医療・介護における「現役並み所得」の判断基準の⾒直し等で膨らみ続ける「社会保障」を改革する。


一般会計の歳出総額の内、実質投資に値する項目は「地方交付税 交付金等」「公共事業」「文教及び科学振興」「経済協力」「中小企業対策」の五つ。総じて二十八.三㌫。この国の九十九㌫、全従業員の四分の三を占める「中小企業対策」は、たったの〇.五㌫。この国は「社会保障」と「国債費」の計五十七.八㌫に予算を費やしている。「社会保障」を大きく削り、「中小企業対策」を全体の十㌫以上にすれば、子ども・若手・中堅に希望の光りが灯る。


その為には国民の声が欠かせない。来年には声を届ける『統一地方選』と『参院選』がある。子ども・若手・中堅を一番に考える政治家に一票を。


画像引用:平成31年度予算のポイント/財務省

記事:羽田野正法

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