事業承継で贈与税・相続税を百㌫納税猶予、『中小企業強靱化法案』を閣議決定

【ビジネス報道】 安倍内閣は、平成三十一年二月十五日に『中小企業強靱化法案(中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律案)』を閣議決定した。本改正案は、『中小企業等経営強化法』『小規模事業者支援法』『承継円滑化法』『中小企業基盤整備機構法』の四法の一部を改正したい。報道現在で開会中の第一九八常会に提出予定。


背景には、自然災害の頻発化や経営者の高齢化によって多くの中小企業が、事業活動の継続がある。現況を踏まえて中小企業の事業活動の継続の為、中小企業の災害対応力を高め、円滑な事業承継を促進する事を本改正案の趣旨とした。


「平成二十八年 経済センサス-活動調査/経産省、総務省」によれば、中小企業・小規模事業者数は三百五十七.八万者(三十年公表)。同調査は五年に一回。様々な統計により、現況は事業承継に関して消極的な姿勢である事が示されている。事業承継を諦め、休廃業・解散を選んだ企業の内、経営者が六十歳代以上と八十歳代以上の企業の割合は過去最高。二十九年の休廃業・解散は倒産の三倍を超えた(「平成三十年版 中小企業白書」)。国は打開策を打ちたい。



具体的な必要な措置は以下の三つに大別。

  1. 中小企業・小規模事業者の事業継続力の強化
  2. 中小企業の経営の承継の円滑化
  3. その他(関係者の関与による基盤強化等)


一では、事業継続力強化に関する「基本方針」を策定する。これは、中小企業が行う事前対策の内容や中小企業を取巻く関係者(サプライチェーンの親事業者、金融機関、保険会社、地方自治体、商工団体等)に期待される協力を規定した基本方針となる。

次に中小企業の事業継続力強化に関する計画を認定する。これは、中小企業者が単独で行う「事業継続力強化計画」や複数の中小企業が連携して行う「連携事業継続力強化計画」を経産相が認定する制度を創設し、認定事業者に対して信用保証枠の追加や低利融資、防災・減災設備への税制優遇、補助金の優先採択等を講じる措置だ。

そして商工会・商工会議所による小規模事業者の事業継続力強化の支援を行う。これは、商工会又は商工会議所が市町村(特別区含む)と共同して行う小規模事業者の事業継続力強化に係る支援事業(普及啓発や指導助言、復旧支援等)に関する計画を都道府県が認定する制度の創設。経費について地方交付税措置を講じ、地方における小規模事業者支援を推進したい。


二では、個人事業者の土地や建物、機械・器具備品等の承継に係る贈与税・相続税を百㌫の納税猶予をする「個人版事業承継税制」の創設が本年度の税制改正大綱に盛込まれた点より、新税制の効果が充分に発揮される様に遺留分に関する民法特例の対象を個人事業者に拡大するもの。


三では、一定の要件を満たす中小企業者等が社外高度人材(プログラマ・エンジニアや弁護士・税理士・会計士等)を活用して新事業分野を開拓する計画の認定制度を創設し、認定を受けた者に対して金融支援・税制支援(ストック オプション税制の対象追加)を講ずる。小規模事業者の経営発達に係る支援事業につき、商工会・商工会議所と市町村(特別区を含む)が共同で計画を作成し、認定時に知事の意見を聴く。また、情報提供や相談対応等を新たに中小機構の業務に追加する。




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