予算案通過、国民が知るべき初歩的知識

【政治ニュース】 平成二十八年三月一日に本年度の予算案(議案名①「一般会計予算」、②「特別会計予算」、③「政府関係機関予算」)が、与党等の賛成多数で衆院を通過し年度内の成立が確定したコトを、時事通信ら報道各社が記事『16年度予算案が衆院通過=年度内成立確定、過去最大(写真引用)』等で報じた。①は、過去最大の九十六.七兆円となった。安倍晋三 総理は、予算の早期成立が最大の景気対策と述べ、予算成立(参院通過)後に景気の下支えに全力を挙げるとした。



=解説=

 国家の予算案は、国民の生活にとって最もダイレクトである。過去・現在・未来の税金の使い道を決めるのだ。然しながら、国民にとって予算案は内容が分かりにくく、理解し難い。その理由の一つに、メインが“単式簿記”という問題がある。通常、ビジネスのメインは“複式簿記”だ。国も別途、“複式簿記”を作成しているものの、メインが“単式簿記”なので財務の透明性(どこに何が使われているか等)が低い。“単式簿記”は家計簿程度の仕組みと捉えても良いだろう。


投票権をもつ国民は、税金の使い道である予算案の初歩を知っておく必要があるだろう。財務省(大臣:麻生太郎)は「平成二十八年度予算 及び 財政投融資計画の説明」を公開している。押さえるべきは、個々の数字(木)よりも大概(森)を見た方が良い。先ずはここに毎年、慣れる。大概の総論は以下の四ブロックに分かれる。


  1. 予算編成の前提となる 経済情勢及び財政事情
  2. 二十八年度 予算編成の基本的考え方
  3. 二十八年度 一般会計予算の規模等
  4. 分野別の概要




<背景と方向性>

 背景の一つ「経済」としては、昨年度のGDP成長率が名目で二.七㌫程度、実質で一.二㌫程度とプラスを見込む。一昨年度の実質はマイナス一.〇㌫であった。また本年度の名目は三.一㌫、実質で一.七㌫と政府の見込みは続伸。もう一つの背景「財政」としては、昨年度の予算は公債依存度が三十八.三㌫で、長期債務の残高が対GDP比が二百七㌫(昨年末時点)と深刻だ。政府は、三十二年度までに国の支出と収入の差を示す「基礎的財政収支(PB)」を黒字にするタメに「経済・財政再生計画」を策定し、本年度より実施する。


次に基本的な考え方である。取り組む大課題は三つ、「少子高齢化」「一億総活躍社会」「TPP」。ポイントは、政策効果の見える化やPDCAサイクルの強化促進、国民参加の改革を推進するコトである。予算の規模等は、先に触れた①が過去最大である点や税制改正による税収増(前年度比でプラス五.六㌫)、問題の一つである公債依存度を下げている(前年度比でマイナス二.七㌫)。尚、公債は詰まるところ、未来の税収を当てにしている。よって公債が多ければ多い程、未来の国民が借金を増やしてるコトになる。




<中小企業へは?>

 最後は、十五項目ある分野別の概要である。

  1. 東日本大震災からの復興
  2. 税制改正
  3. 社会保障
  4. 文教及び科学技術
  5. 社会資本の整備
  6. 経済協力
  7. 防衛力の整備
  8. 中小企業対策
  9. エネルギー対策
  10. 農林水産業
  11. 治安対策
  12. 地方財政
  13. 公務員人件費
  14. 特別会計
  15. 決算等の反映


FPhimeユーザにとっては「中小企業対策」が重要であろう。こちらの予算は、千八百二十五億円(前年比でマイナス一.七㌫)。A.生産性の向上と経営支援の強化、B.資金繰りの強化を図るが、支出の抑制を図った。Aでは、産学官連携による革新的な商品・サービスモデルの開発等、商工会・商工会議所の「伴走型支援」、「よろず支援拠点」の機能強化、下請けに対する補助が具体策となる。Bでは、日本政策金融公庫への出資金・補給金と全国信用 保証協会連合会への補助金等を計上した。


この様に初歩は、個別の数値を追うのではなく、大概を俯瞰する。そうすれば、この国(政府)が税金を使って何を使用としているのか、政府(与党)が何を考えているかが見えてくる。国民は行政サービスを国へ注文するコトができる。そのタメには、代弁者(国会議員)を国会に送り、大臣になれる状況(入閣)が必要なのだ。一朝一夕で政治は変わらない。変えたくば、数ある選挙の際に国民に戦略と戦術が求められる。大きなビジネスと一緒で地道な努力を要する。何故なら、この国は世界経済、第三位の大国なのだから。

(了)


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