【高級ファッション・芸能考察】 平成二十八年二月二十九日に米ロスで『第八十八回 アカデミー賞』の授賞式と『ヴァニティ・フェア』誌が主催するアフターパーティが開かれた。同賞は“アメリカ映画の祭典”と冠され、主に米映画が対象となる。また「世界三大映画祭(仏カンヌ、独ベルリン、伊ヴェネツィア)」よりも歴史が古いタメ、市場への影響力を同賞は有す。今回は「アカデミー主演男優賞」をレオナルド・ディカプリオが初めて受賞したニュースに沸いた。映画は「レヴェナント:蘇えりし者/ 二十世紀フォックス」。
同賞にはファッションの側面がある。米国を代表する女優や歌手が赤絨毯(レッドカーペット)を歩く姿は世界が報じる。FPhimeはいくつか例を挙げ、考察する。VOGUEは同賞に際し多数の記事を公開した。内、記事「話題のセレブが集結! アカデミー賞アフターパーティのドレスチェック。(写真引用)」では、授賞式からドレスを変えたセレブらを特集している。授賞式との違いは“艶やかさ”である。
オーストラリア出身のファッションモデル、ミランダ・カー(癸亥)は髪を切ったばかりで「カウフマン・フランコ」の赤ドレスを纏った。上身頃の大胆なカットに対し下身頃が控え目なスリットであるコントラストが印象的。
歌手のテイラー・スウィフト(己巳)は、「アレクサンドル・ボーティエ」の黒ドレス。金髪に合わせ、小物の差し色は金色で統一。オレンジがかった唇により、スウィフトの水色の目が惹き立つ。
競合誌であるELLEも特集を組んだ。記事「【白い女優&黒い女優編】アカデミー賞ドレスの本当の裏側見せます(写真引用)」では、九名をピックアップ。女優のケリー・ワシントン(丁巳)は、「アトリエ ヴェルサーチ」の白黒ドレス。甲冑を彷彿させる、やや光沢を放つ黒のビスチェと極端に斜め後ろに流したヘアスタイルが、ワシントンらさしを醸し出している。
VOGUEは自身で最も優れたドレスを選び、記事「レッドカーペットに色が舞う! アカデミー賞を彩ったドレスBEST10。(写真引用)」にまとめた。こちらは授賞式。主演女優賞を獲得した経歴も有す女優のジェニファー・ローレンス(庚午)は、「クリスチャン ディオール」の黒ドレス。まるでカラスの羽を纏っている様に見えつつも、重たさを感じない。軽く、ヌーディなメイクアップが安定感をもたらしている。
最後は四十名を掲載してる記事「第88回アカデミー賞のアフターパーティでベストドレッサーを探せ!(写真引用)」から、英ファッションモデルのナオミ・キャンベル(庚戌)。「アトリエ ヴェルサーチ」のいぶし銀ドレス。当該記事はセレーナ・ゴメスらを押さえている。
=考察=
今回のファッションからは、より大人エレガンスに傾いた様に感じる。米国というお国柄、“強い女性”は演出されやすい。だが、子どもっぽさやお遊び的なテイストは以前にもあった。今回は丸っきり、そういったテイストは見受けられず、女性が洗練から熟成に向う経過を凛と存在させている。
これは日本と対比すると、かなり分かり易くなる。三月四日に行われた「日本アカデミー賞」でも女優陣はドレスを選ぶ。韓国では「大鐘賞」、中国では「金鶏百花映画祭」がアカデミー賞に値するだろう。無論、体系的な違いは当然であるが、米国で活躍する女優や歌手の“大人エレガンス”はカリスマ的に力がある。
ファッションはセンス(感性)だ。そのセンスは、賞・映画祭の大きなプロモーションとなり市場に影響力を与える。事実、同賞が正にそれだ。つまり公の場でのセンスが弱い国は、例え良い映画を作ろうとも良きプロモーションは行えないだろう。今回の米アカデミー賞の“大人エレガンス”を、日本の女優陣にも真似てもらいたいモノ。まずはクチュールとは言わずとも、プレタポルテくらいは着てもらわなければ、恥ではないか。
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