十五歳・高校一年生の池江璃花子が百分の六秒でリオ五輪への出場権

【スポーツ】 平成二十八年四月四日から十日の七日間、東京・辰巳国際水泳場で『第九十二回 日本選手権水泳競技大会(兼 第三十一回 リオデジャネイロ オリンピック競技大会代表選手選考会)』が行われた。同大会は八月五日より二十一日間かけてブラジル・リオデジャネイロで開催される『第三十一回 五輪競技大会』の選手選考会を兼ねていた。


競泳では設定された標準記録を突破しない限り、優勝しても主要大会に出場出来ないというルールがある。よって、五輪に出場するためには、今大会で出した記録が派遣標準記録を突破しない限り出場出来ない。過去に自己ベストがそのタイムを突破していたとしても、規定の大会で突破しない限り、出場権は獲ることが出来ない。四月四日に報道各社が本大会で起きた偉業を「高1の池江璃花子が日本新 競泳女子100Mバタフライ/朝日新聞(画像引用)」等で報じた。




<代表になる難しさは>

 代表になるには、基本的に各種目上位二名に入り、尚且つ、日本水連が決めている「リオ五輪 派遣標準記録」を決勝で突破することが条件だ。本大会前にリオ五輪に内定していたのは、「世界水泳二〇一五」で金メダルを獲得している二十一歳の瀬戸大也、十九歳の渡部香生子、二十五歳の星奈津美の三名。


今回は、高校生にして個人・初で「リオ五輪出場権」を得た池江璃花子(庚辰)。池江は今大会で、個人百㍍バタフライ・四百㍍フリーリレー・八百㍍フリーリレー・四百㍍メドレーリレーの日本女子最多の四種でリオ五輪出場が決定した。特に、個人で五輪出場権を獲た百㍍バタフライは注目に値する。



〇.二二秒の差で日本新

 大会二日目となる五日に行われた百㍍バタフライ決勝。池江はレース四十分前に二百㍍自由形準決勝に出場していた。水泳でのレース間が四十分という短いインターバルは酷な状況だ。身体に乳酸が溜まった状態での百㍍バタフライ決勝は、他のそれに専念している選手のコンディションに比べて圧倒的に不利な状況といえる。


前日に行われた同競技の準決勝にて、自身の自己ベストを更新し、五十七秒五五と日本新を叩き出していた。同競技の五輪出場にあたる標準派遣記録は五十七秒七七。日本新との差はわずか〇秒二二と、五輪出場のために池江は前日と一秒の差も許されない極度に過酷な状況で戦っていていた。




<日本女子中高生の実力は世界級>

 実際のレースでは、前半五十㍍二十六秒九八と前日の日本新記録更新時よりも〇秒一七早く折り返し、攻めのレースを魅せた。後半はやはり二百㍍自由形準決勝の疲れがあり、失速する一面が見受けられたが、見事に派遣標準記録を〇秒〇六上回る五十七秒七一でゴールし、リオ五輪出場権を獲た。重ねるが池江は若干、十五歳である。


〇秒〇六はほんの一瞬の判断で変わる。ゴールタッチ直前の数かきでタイムに誤差が生じ、リオ五輪出場権を逃していたかもしれないという瀬戸際で池江は勝った。レース後の池江は「ベストは出なかったけど本当に嬉しいです」と、ゴール直後から止まらない涙を抑えコメントした。冬に強化合宿を行った努力の成果が、池江の五輪出場を実現させたのだろう。

日本競泳の女子出場者で高校生としての出場は前ロンドン五輪に続く快挙。今年の日本競泳女子は中高生に耳目が集まる。




=解説=

 池江の得意種目は自由形とバタフライ。特に試合当日は二百㍍自由形準決勝と百㍍バタフライ決勝が重なっていた。大会エントリー時に池江は「葛藤があった」とSports naviの記事「15歳・池江璃花子の“有言実行力”期待の新星が4種目で五輪切符」でコメントしている。自由形とバタフライ、どちらも出場したい想いの中、自信を奮い立たせ両方に出場する決意をする。


結果惜しくも自由形では優勝したものの、派遣標準記録を破れずリオへの切符を逃したが、若干、十五歳にしてバラフライで個人種目出場という快挙を成し遂げる。池江を見るにミレニアム世代は芯が強い。彼女のみならず、現代の中高生には多いに期待できると言えるだろう。


日本競泳女子 リオ五輪代表:池江璃花子(Ikee Rikako.庚辰)

第九十二回 日本選手権水泳競技大会(兼 第三十一回 リオデジャネイロオリンピック競技大会代表選手選考会)

 

記者:岡本

0コメント

  • 1000 / 1000