【政治コラム】 巷は『参院選二〇一六』の真っただ中であるが、平成二十八年六月二十九日に元防衛・環境大臣の小池百合子(壬辰)衆議が「都知事選二〇一六」への出馬を表明し、自民都連(自由民主党東京都支部連合会、会長:石原伸晃 経済再生大臣)を中心に驚かせた。都知事選の告示は七月十四日(木)で、投開票が三十一日(日)と、参院選後にすぐとなる。
余程の政治通でなければ、この状況が如何に凄いコトで「小池の乱(百合乱)」と称される理由が分からないだろう。結論から言えば、石破茂(丁酉)国家戦略特区及び地方創生大臣の総裁選(つまり総理選)への仕掛けであろう。
<自民党は政党級の集まり>
自民党を大雑把にでも把握する必要がある。自民党は、一言でいえば派閥主義だ。投稿現在で八派閥、八人の領袖(トップ)がいる。それぞれは中小政党級の所属議員数を有す。自民党は、大同小異な少数政党の集まりとも云える。安倍総理(甲午)は、最大派閥九十七人の「清和研」。源流は、安倍総理の祖父である岸信介(丙申)だ(但し、総理在任中は派閥を抜けるもの)。
第二派閥は、五十一人の「平成研」。源流は田中角栄(戊午)。茂木敏充(乙未)選対委員長が所属する。第三は、四十二人の「宏池会」。源流は池田勇人(己亥)。岸田外務大臣(丁酉)が領袖。第四は、三十六人の「為公会」。源流は「宏池会」に同じ池田勇人。麻生副総理兼財務大臣(庚辰)が領袖。
第四は、三十五人の「志帥会」。源流は河野一郎(戊戌)。二階総務会長(己卯)が領袖。第五は、今回の本丸、二十一人の「水月会」。石破大臣が初代領袖。第六は、十四人の「近未来政治研究会」。源流は「志帥会」に同じ河野一郎。石原都連会長(丁酉)で渦中の人だ。最後の第六は、十一人の「番町研」。源流は三木武夫(丁未)。女性初の領袖となった山東昭子(壬午)参議は、参院史上最多の七回当選の記録をもつ元女優。
石破派、じわり
これが自民党を知る上での最低限の枠組みだ。党内には無派閥も少なくない。小泉進次郎(辛酉)衆議等がそうだ。今回、出馬表明した小池衆議は、派閥に所属しないものの、「水月会(石破派)」に近い。前身である「無派閥連絡会」の会合に小池衆議は参加していた。出馬表明をした当日は、政界の妹分とする三原じゅん子(甲辰)参議の応援演説に午後いっぱいをかけた。妹・三原参議は、四年前から石破大臣を擁護。
もともと石破大臣は派閥を否定する者であった。現状もそうであろうが、無派閥ではここぞで総理=総裁になれない、組閣後の運営に支障を来たす可能性も鑑み、昨年に派閥化。おもむろに石破大臣を総理にする事を主眼とする。二十四年の総裁選では、第一回の投票では石破大臣が首位で、二位が安倍総理だった。地方の選挙人で数字を作ったが、続く決戦投票は国会議員のみの選挙人であったため、十九票差で石破総理は誕生しなかった。
国会議員による派閥の力を深く知ったのだろうか。
<学会を味方につける選択肢>
小池衆議に戻す。現状は無派閥であるが、都知事になり都連の長、石原大臣(近未来政治研究会)と足並みを揃えることは大きい。石原大臣は、源流が同じ「志帥会」と一つになる話しもある。ともすれば、二十四年の総裁選で林芳正(辛丑)参議を立候補させた第三派閥「宏池会(岸田派)」が鍵となるだろうか。小池衆議の立候補の際、小泉純一郎 元総理が応援するとの噂もある
三原参議の神奈川選挙区でのぶっちぎり一位当選予想は、学会・婦人部の応援が大きい。この六年間で信頼を得ている感が、演説現場で感じられる。学会組織は繋がっている。小池衆議を都知事選で推すのは、おそらく三原参議等の応援で学会・婦人部だろう。東京の学会力はとても強固で、神奈川の比ではない。
自公が推し、二代続けて失敗した都知事で活路を見出せば、党内の風も変わる。そして石破大臣は選挙中にも関わらず、アベノミクスを間接的に否定した。
しかし、大胆な金融緩和はいつまでもいつまでもできるものではない。財政出動もいつまでもどこまでもできるものではない
所詮、これはコラムで憶測の域を出てない。今回、名を挙げた政治家らの干支が似通っている様に感じなくもない。
しかし、石破総理への布石であることに間違いはないだろう。
撮影:上;渡辺哲郎、中・下;金剛正臣
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