女性インストラクタ、禁欲、上流階級、レズ、少女型アンドロイド等の粒ぞろいな洋画|第三十三回『東京国際映画祭』

【芸能報道】 令和二年十月三十一日から十一月九日に東京・六本木等で開催される第三十三回『東京国際映画祭』のラインナップが発表された。本年は各国映画祭で出品された作品を含んでいる。洋画を七本をピックアップする。

チケットは十月二十四日より発売。


現代アスリートの切実なポートレート映画『スウェット/ポーランド、スウェーデン』は、フィットネスやエクササイズを重んじる女性に薦めたい一作。主人公のシルヴィアはエクササイズのカリスマ・インストラクタとしてSNS発信を行い、フォロワ数が六十万を超える。だが彼女には孤独感がある。虚像との現実とのギャップに悩み、愛を求めるシルヴィア。女性の内面に迫る心理ドラマだ。『カンヌ二〇二〇』に選出された。アジアン・プレミア。



禁じられた欲望の芽生えを描く映画『最後の入浴/ポルトガル、フランス』は、陽光降り注ぐ田舎の村の物語。身寄りを失った少年を修道女の伯母が気遣う。二人は絆を深めていくが、神に仕える伯母の心中は複雑になっていく。思春期の少年と禁欲の誓いを立てた伯母の美しくも危うい心理ドラマ。ワールド・プレミア。



世紀の駆け落ちスキャンダルの真相を暴く映画『モラル・オーダー/ポルトガル』の舞台は、二十世紀初頭。上流階級における男性優位社会に挑んだ女性の生き様を描く実話のドラマ。カメラマンとしてマノエル・ド・オリヴェイラ(「ブロンド少女は過激に美しく」等)やジョアン・C・モンテイロ(「J.W.の腰つき」等)のポルトガルの巨匠を支えたマリオ・バローゾ監督が、格調高く物語を紡ぐ。




仏「カンヌ映画祭」脚本賞・クィアパルム賞を受賞した映画『燃ゆる女の肖像/フランス』は、十八世紀の仏・ブルターニュ地方の孤島での恋。望まぬ結婚を控える貴族の娘と彼女の肖像を描く女性画家がいる。結ばれる筈のない運命の下、一時の恋が永遠に燃え上がっていく。



独「ベルリン映画祭」エンカウンタ部門審査員賞を受賞した映画『トラブル・ウィズ・ビーイング・ボーン/オーストリア、ドイツ』は、興味深い。庭のプールにうつ伏せで浮かぶ少女を父親が引き上げて、再起動する。ペシミスティック(厭世的)な孤独感が漂う中、人の心の闇と共に少女型アンドロイドの運命が詩的な映像によって綴られる。オリジナリティ溢れるアートSF。




アグネス・チャンの姉で元女優、歌手のアイリーン・チャン原作の豪華な映画『第一炉香/中国』は、昭和初期の上海事変後の香港。社交界に染まっていく女性を描いた原作を、巨匠アン・ホイ(「清朝皇帝」等)が映画化。撮影のクリストファー・ドイル、音楽の坂本龍一、衣装のワダエイミと豪華なスタッフ陣も話題。伊「ヴェネツィア映画祭」出品作。



最後は天使の様な子が姓を選択する映画『リトル・ガール/フランス』。男の子の身体で生まれたサシャは、女の子になる事を夢見ている。家族は理解を示し、サシャを支えるが、学校制度に阻まれる。母親の献身と闘いが感動的であり、無垢な表情のサシャに大人は胸を痛めずにいられない。ドキュメンタリ作。


画像:東京国際映画祭

0コメント

  • 1000 / 1000