【政治コラム】 今年の参院選で初めて「十八歳選挙」が行われ、総務省の発表によると十八歳は五十一㌫、十九歳は三十九㌫という投票率となった。結果はまずまずながら、若い世代にも選挙の関心が高まり、投票の重要さも各メディアで取り上げられた。そして、その「十八歳選挙」が始まって早くも二回目の選挙が「東京都知事選」で行われる。そこで大事なのは「何で候補者を選ぶのか」ということ。その基準について社会部記者の観点から記す。
- 候補者のイメージ
- メディアの取り上げ方
- 掲げる政策
- 選挙活動
<重要なイメージ、されど>
候補者のイメージ、メディアの取り上げ方は極めて重要なポイント。前回の参院選を例に挙げると、議員としての経歴のある候補者はもちろん、中にはタレント、歌手、スポーツ選手などの著名人も多い。「テレビで見たことがある」、「昔からファンだった」、「選手時代に応援していた」、「華がある」など政治の観点からではなく、イメージで決めている主権者も少なからずいたであろう。しかし、そのイメージだけでは、これからの政治活動においての活躍度・信頼度は未知数である。
一方、経歴はあるのにも関わらず“地味”というイメージで、メディアには取り上げられず落選した候補者もいる。それだけイメージ戦略が大事であり、また新しく有権者となった若者の主権者が惑わされる要因ともなると考える。
分かりにくい差
第二に政策。各候補者の政策は、ほとんどが似たり寄ったりであり、初めて選挙に向き合った主権者には差が分からない。そのためイメージで決めざるを得なくなってしまう。待機児童、高齢者対策においては、むしろどの候補者が当選したとしても、必ず進めないといけない課題であり、また参院選でも課題となっていた“学費無償化”や“無利子奨学金”においても「財源は?」「いつから始まるのか?」という学生やその家族の不安はなくならない。
絶対がない以上、すべての政策を実現してくれる、という思いどころか「本当に出来るのか?勝つための釣り文句ではないのか?」という声が増え、その結果選挙に行かないということにもつながる。
ポイントは選挙活動
上にあげた項目の中で、記者が一番大事だと思うのは「選挙活動」。実際にその候補者の演説を聞き、すべてを鵜呑みにするのではなく、疑念を持ちながら、他の演説を聞いて、一番自分の気持ちと合うものを選ばなくてはならない。しかし、実際のところ演説を聞きに行くのは年配の主権者が多く、若い世代は有名人などがいなければ足を止めない。ましてや交通規制などで嫌悪感を抱く若者の方が圧倒的に多いのだ。
その結果、候補者も足を止める層(主に高齢者)が喜ぶ政策を掲げ、演説の交通規制やその政策の実現により若者は生活しづらくなるという、悪循環を生み出し若者が自分で自分の首を絞めることとなる。
選挙に関心を持たなければ、その分自分が報われる政策が出ない、選挙に行かなければ自分を救おうと努力する候補者を勝たせることはできない。その観点から、表のイメージや政策だけで選んだり、棄権するのではなく、自分のための「政治家」を見つけることが重要だと考える。
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