カンヌ・ベネチア・ベルリン・上海映画祭の作品とワールド プレミア二十五本|第三十三回『東京国際映画祭』

【芸能報道】 令和二年九月二十九日に東京・六本木にて第三十三回『東京国際映画祭(TIFF)のラインナップ発表記者会見が行われた。会見には、俳優・役所広司(丙申)、映画監督の深田晃司(庚申)と是枝裕和(壬寅)が登壇した。


コロナ禍で世界中の映画祭では中止・延期、縮小やオンライン開催を行っている。本映画祭も協賛金が大幅に減少しながらも通常実施を決定。上映本数は例年と比べ三割減。本映画祭は映画館での上映に拘る。コンセプトは「映画を観る喜びを再認識し、映画の未来への希望の光を灯す」、「映画を通じて国際的な連帯を強める」、「コロナ後の映像文化についての考察を深める」の三つ。



安藤裕康チェアマン(写真上)は三つのコンセプトを基に、「アンバサダを務める役所を始め『映画館に行こう!』実行委員会と協力し、これから上映される新作映画の予告編を一気に見せる機会も企画。」と意気込む。海外との連帯も推した。仏「カンヌ」、伊「ベネチア」、独「ベルリン」、中「上海」等で上映された秀作を多く上映する。「ゲストの招聘が難しい本年は、世界の映画人よりメッセージを頂き、オープニング セレモニにてお披露目をさせて頂く。」と、コロナ禍でも世界中と繋げる考え。


ポストコロナに向け、「これからの映像文化が、どうなるのかを考えていきたい」と提唱。具体的に、是枝裕和 監督の企画の下、国際交流基金との共催で映画の未来について議論を毎日重ねる「アジア交流ラウンジ」を挙げる。パネリストとして「アジアや日本の有力な映画人が参加予定。是枝監督も本企画に何度か登壇頂く。」とコロナ禍であるからこその全力投球。



<映画への熱い想い>

 フェスティバル アンバサダに任命された役所は「(例年とは)形は変わっているのかと思いますが、映画を通して、様々な方に勇気や力を与えられる為の映画祭ですから、なんとか盛り上げてやっていきたいと思います。」と力強く述べた。本映画祭へ「役者として育てて貰った。」と謝意も示した。


また「(現場は)自分の職場ですし、一緒に作ってきた仲間がスタッフ・キャスト含め沢山います。皆、生活もしていかないといけない。そんな中で、我々“俳優”が何をやれるのか、断捨離をしながら色々と考えましたね。映画祭のフェスティバル・アンバサダのお話を頂いた時は、何時もなら、若くて美しい女優さんがミューズを務めるのに、今年はなんで私なんだろうと、少し躊躇もしました。」と笑う一面も。


「ちょっとでも、この映画界の活性化の為に役に立つ事があれば、と思って引受けさせて頂きました。」と映画界の更なる発展の為に助力する姿勢。映画館で作品を見る違いを問われると、「いやぁ、違うんですよね。確かにステイホーム期間、配信等で映画を楽しまれた映画ファンの方も沢山いらっしゃると思います。自分の好きな時間に観る事ができて、それはそれで便利なんですが、やはり、映画館に行って、暗闇になるあの瞬間、大きなスクリーンと包まれるような音響で、ドキドキしますね。あれはテレビでは体験ができない事です。後は観客同士、良い映画を観た時の一体感。これも映画館でしか経験できない事だと思っています。僕もDVDを観たりはしますが、映画館に行くと『来て良かった、やっぱり違うな』と実感するんです。同じ作品を観ても、テレビと映画館では、まるで違う作品の様に感じると思います。」と映画館の良さを伝えた。


「映画というのは大変な事件に直面し、それを乗り越えた時に素晴らしい作品が生まれるものだと思っています。コロナ禍の苦難を乗り越えて、(映画界が)力強く復活すると期待しています。」と思いの丈を述べた。



TOKYOプレミア二〇二〇

 本年は三つのコンペティション「インターナショナル コンペティション」「アジアの未来」「日本映画スプラッシュ」を統合し、「TOKYOプレミア 二〇二〇」を新設。百七の国と地域から寄せられた一千三百五十六本の中から、計三十二本を上映する。応募自体は昨年と比べ、約四百五十本減少。本年は審査員がグランプリを選ぶコンペ形式ではなく、従来の三部門の選定視点を軸にして選ばれた映画を上映するショーケース形式。


世界初上映となるワールド プレミアは二十五本、アジア プレミアは七本。地域別では日本から十本、アジア各国から十二本、その他欧米等の地域から十本を選出した。新しい才能の発掘と応援を目的とし、長編デビュー作が十二本含む。同部門では全作品を対象に観客が投票を行う「観客賞」を設けた。

会期は十月三十一日から十一月九日。六本木ヒルズ、EXシアター六本木他にて。


撮影記事:岡本早百合

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