地方で起業のチャンスを行政が逃している、要件「住民票の移動」は足枷

【ビジネス考察】 政府は、令和元年度より地方創生事業『わくわく地方生活実現政策パッケージ(移住支援金・起業支援金)』を実施している。予算額は元年度・本年度共に一千億円。移住し、起業すると最大で三百万円の支援を受けれるものだ。対象は特別(二十三)区民。


リモートワーク・二地域居住・ワーケーションの令和三種の神器を活かす機会である。東京でビジネスを行う若手としては、二地域居住は見逃せない。だが、未だにリタイア世代が二地域居住の対象としている感が否めない。


移住相談センタである「ふるさと回帰センタ(理事長:高橋公)」では、二年十月十日と十一日に第十六回「ふるさと回帰フェア二〇二〇」をオンラインにて実施。東京・有楽町「ふるさと回帰支援センタ/交通会館」等で延べ一.五万人を集めた。交通会館では、各都道府県がブースを構えて相談を受付けている。


高所得者・富裕層(超生産性)の若手は、この政策を知っているだろうか。


取材を通じた結果、この政策の知名度が低い理由は簡単だった。先ず実施主体である各都道府県が、特別区民へPRを何もしてないに等しかった。有楽町のセンタだけが具体的なPRとなっている。実施主体もNPOと経営・財務が弱く、若手へ簡単には情報が届かないだろう。若手に届くPRが無い以上、知名度が上がる訳がない。

都も積極的にPRしていなかった。


恐らく、この政策には構造的な問題がある。それは移住と各道府県内での就職がセットである点。それと三百万円の満額支援の為には、移住に併せてビジネス コンテストで一時審査を通過等の要件が課せられている。


これは一言なら、人材争奪戦である。


この感覚は、若手ビジネスマンに向かないだろう。年収一千万円以上のビジネスマンや資本金一億円以上の若手代取ならば、自由に就業地・起業地を選びたいもの。要件「住民票の移動(転入による住民票の確認)」そのものがエリートな若手の足枷になっている。住民票を変えずとも住む・働く場所は複数確保している。


これは住民税の問題からだろうか。もし左様であるなれば、自治体目線で程度が低い。何故ならば、住民票を動かさなくとも、副業・兼業は可能。各道府県をビジネスマンが気に入れば、そこでビジネスを展開する。就業者なれば、その生産性の高さより勤め先の法人の納税額は増える。起業家なれば、当然に納税額は増える。


内閣府に確認した所、三年度の概算要求で就業者につき、都内の仕事はテレワークで維持しつつ移住する事へ緩和を検討しているという。


基本的に都道府県の大きな基本収入は法人二税なので、法人設立を如何に多く獲得するかが重要であろう。例え、各都道府県でビジネスのし易さが高くとも、「住民票の移動」が絶対条件であると、手続き上で煩雑である。これは各都道府県の(法人設立・法人二税の新規獲得の)機会損失に他ならない。


若きビジネスマンには、手軽(ライト)さが重要である。今回の施策の様に、最大三百万円あれば即、起業に移せる。特別区民のビジネスマンならば、尚更だ。スピードと勢いこそが肝要なのだ。行政がDXを推し進めている最中であるが、若手ビジネスマンの目線(現状)に合わせると、積極的に地方創生(起業・M&A)に邁進できるだろう。


若者・若手こそが地方創生の要ではないだろうか。その為には、要件「住民票の移動」を外し、地方からも東京で就業・起業できる様にしなければ、都庁が若き特別区民へPRしないだろう。折角の素晴らしい政策が低知名度で終わりかねない。これは好機である。全国で友達百人できれば、ビジネス(就業数・納税額)が途端に増大する。

一方通行をWeb1.0、双方向をWeb2.0という。


真の地方創生の為、菅内閣に期待したい。


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