「積極的かつ的確に」って何(その壱)

【人生コラム】 日本語は曖昧な言葉が多い。だから分かりにくい、伝わりにくいことが多々あるだろう。特に若手(若者を含む)と中堅・シニアとのコミュニケーションは、よく詰まるもの。若手内でさえ、壁がありそうだ。


この言葉や雰囲気を含む文化の違いを「一世代」とし、世代間での文化の違いを「ジェネレーション ギャップ」という。


日本語に曖昧な言葉が多い理由の一つに「和をもって貴しとなす」という根底がある。今から一千五百年前の飛鳥時代に聖徳太子は「十七条憲法」を打ち立てた。これは憲法であり、日本国の存在理由でもある。細かい訳は省くが、和を大事にしましょう、に他ならない。日本国は「和をもって貴しとなす」として建国した。天皇については第三条。


どれだけ和の精神が大事か。


感覚的に言えば、ゆとり世代が他の六世代と比べて一番、「和をもって貴しとなす」の感覚をもっている様な気もする。一つ上のプレッシャ世代は、やや敵対的な雰囲気を醸し出している。物事を白黒はっきりすれば、だいたい対立となる。余計な対立を避けるために和を重んじる。


これは欧米との文化の差だ。あちらは、支配するか、支配されるかの歴史。曖昧は死を意味した。


今回は「積極的に且つ的確に」。

非常に曖昧な指示である。だが、よく上の世代が使う言葉でもある。だから若手なりに理解に勤しむ。


まずは「積極的に」。

対義語は「消極的」。前者がプラスであれば、後者はマイナス。ならば、ゼロがあるはず。

基準のことだ。


何を基準に積極的と言っているのか、何を基準に消極的と言っているのか。


司法の世界では「社会通念上」という曖昧な言葉を使う。これは、だいたい日本人みんなが、そう思っているんじゃないか、という曖昧なもの。ほとんど裁判官の主観でもある。


実際には報道を通じ、世代によって基準が違うことを肌で感じてきた。先の「ジェネレーション ギャップ」だ。


だから、「積極的に」と言っている人が“基準”と見たほうが良い。少なくても言われている側が“基準”ではなさそうだ。ゆとり世代の積極的は、だいたい上の世代には通用しない。上であればあるほど、理解されない。ゆとり世代なりに積極的にはやっている。ただ、世代間で基準(文化)が異なっているので、合致しない。

電話が典型的。ゆとり世代は、他の世代よりも圧倒的に気を遣っている。



やることは一つ。「積極的に」を言われたら、逆の「消極的に」の場合を聞く。マイナス基準を先に知っておく。たぶん、それはゆとり世代には理解できないかもしれない。だけど、それを言った人は大真面目。和を重んじ、彼らの基準を尊重しよう。


そして、同じように自身達の基準(文化)も尊重してもらう。意外とこれができない中堅・シニアは多い。コミュニケーションの手順としては、まずは「積極的に」を相手を肯定し、実行する意思を伝える。その後に「消極的に」の場合を聞き、考えてもらう。基準が分かったら、自身達の「積極的に」の基準も伝えておく。


この手順で双方の世代のギャップを理解できる。お互いが円滑なコミュニケーションを図る尺度ができる。正に「和をもって貴しとなす」ではないか。


「的確に」は次回。


記事:金剛正臣

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