日仏のマンガ文化が融合、高品質の同人誌『ラストマン』

【社会ニュース】 平成二十八年八月十二日に行われた「コミケ九十」の企業ブースにて国際コーナーが設置され、フランスの伝統的な漫画的文化「バンド・デシネ」の技法を取り入れた作品『ラストマン』の展示が行われた。同作は仏・作家のバラック、バスティアン・ビベス、ミカエル・サンラビルの三名がイラストから考案までの全てを手掛けている。代表作に「AKIRA/講談社」をもつ日本の漫画家・大友克洋も大絶賛するマンガ、とバンドデシネの良いとこ取りのハイブリッド格闘アクションだ。


平成二十七年に同作は「アングレーム国際漫画フェスティバル」で最優秀シリーズ賞を受賞。フランスでは同人誌ながらもアニメやゲームになった。日本では漫画がアニメやゲームに成る事自体、現在では至って普通の流れであるが、フランスでは新しい試みとしてブース出展した。主に大人や成年向けである同作(日本の価値観による性的描写は皆無に等しい、フランスは日本よりも厳格性が高い)は、既にフランスで八巻まで販売。十月には第九巻の発売も予定されている。




<十月には大使館と文化庁に招待>

 彼らの活動を物語るメイキングビデオも現在YTで配信中で、その映像では“ひとみ”という日本の女性編集者が悪戦苦闘する三人を束ねていく、というビデオがある。しかし、これは同作のプロモーション映像でフェイクの内容。同作はフランスの編集部で、かなり力を入れられた作品となっていて「面白いメイキングビデオを作ろう!」という意見から、日本のS女優に詳しい作家の一人であるビベスがファンであった田中瞳を起用した。彼らのユーモア溢れる映像にも注目である。


日本のマンガ文化に影響を受けたという三人は、この作品を通して日本とフランスの文化交流を図る。八月九日には既に日本語版の第一巻が販売された。十月には作者である三人が来日し、フランス大使館と日・文化庁に招待されて東京・大阪で国内イベントを行う。日米では常識的な漫画のメディア展開(アニメ化・ゲーム化・映画化)も、欧州等ではビジネスとして黎明期である。


『コミックマーケット九十』

画像最下;『ラストマン―最後のチャンス』エピソード②[メイキング・ビデオ_日本語字幕]よりスクリーンショット

記者:原田眞吾×撮影:金剛正臣

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