立法府の長・大島理森 衆院議長がポピュリズムより議論と、総選挙に向け

【政治報道】 令和三年元日に三権の一角、立法府の長である衆議院・大島理森(丙戌)議長は『年頭の辞』を発した。


「令和三年の新春を迎えるに当たり、国民の皆様の御健勝と御多幸を心からお祈り致します。また、皇室に於かれましては、昨年の立皇嗣の礼により、お代替わりに伴う主な儀式や行事を恙(ツツガ)なく終えられ、謹んでお慶び申し上げます。皇室の弥栄と我が国の益々の発展を衷心より祈念申し上げます。


 昨年、新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るい、我が国を含む各国で数多くの尊い命が失われ、経済社会に未曽有の事態が生じました。亡くなられた方々とその御家族に哀悼の意を表すると共に、罹患された方々にお見舞い申し上げます。そして、日々最前線で奮闘されている医療従事者を始め関係者の皆様に謝意を表します。


衆議院では、立法府は如何なる状況にあろうとも責務を果たし続けなければならないとの認識の下、マスクの着用、議場に入る人数の調整等の対策を講じて参りましたが、引き続き、与野党の協力の下で必要な対策を執り、国民の信託に応えられる様、万全を期して参る所存です。


多くの方々が苦境に立たされる中、国民の皆様の多大な協力の下、各方面で感染拡大防止の為、懸命の努力が為され、ワクチン等に関し様々な動きも報じられている現状にあります。一日も早い終息に向け、衆議院も更なる努力を傾けて参ります。また、東京オリンピック・パラリンピックの延期により選手・関係者の皆様には大変な御苦労があるものと拝察致します。本年の大会が安全・安心を確保した上で成功を収める事を祈念致します。



 感染症の流行により、対面で外国議会との交流を行う事が難しい状況となっています。そうした中、昨年、私はオンライン開催されたG7下院議長会議に参加し、またカナダ下院・米国下院・中国全人代・韓国国会の各議長等とテレビ会談を行う等、様々な課題につき意見を交換する機会を重ねました。他方、昨年は、日英EPA・RCEP等、経済連携について大きな動きがありました。また先の臨時国会で、衆議院では『気候 非常事態宣言』の決議を行いましたが、気候変動問題は人類共通の危機です


そして東アジアの情勢は予断を許しません。拉致問題の解決は被害者の御家族の現状を思うと一刻を争う事態です。こうした多くの課題を考えると、世界では従前以上に人々の間に深い分断が生じているとの指摘もある中、今日程、落ち着きのある調和の取れた政治の下、国際協調を推進する事が求められている時は無いと存じます。衆議院では、これからも活発に議会間交流を行い、世界の平和と各国との友好協力関係の深化の為に尽力して参ります。



 さて、本年は、東日本大震災から十年の節目に当たります。この間、被災者を始め皆様の必死の努力により、住まいの再建や産業の再生が進められました。原子力災害被災地域でも本格的な復興が始まりつつあります。日本人の持つ「復元力」に思いを致すと共に、これまでの皆様の御尽力に改めて敬意を表する次第です。


その一方で、未だ多数の方が避難生活を強いられ、原発の廃炉作業、指定廃棄物の処分等には多くの難しい課題が残されています。私達は被災された、それぞれの方々にとっての真の復興を実現する為、心を合わせて努力を続けていかなければなりません。昨年も、豪雨等により深刻な被害が発生しましたが、災害に強い国造りに取組む事は、この震災を始め多くの災害を経験し、今後も災害と向き合わなければならない私達の使命であると存じます。

衆議院と致しましても、引き続き復興・再生、防災・減災対策の推進に全力を尽くして参ります。



 昨年は議会開設百三十年に当たり、我が国の憲政の歩みを振り返る貴重な機会となりました。人口の減少と大都市への集中が進む中、本年は国勢調査の結果が公表され、一票の較差の問題を始め、様々な議論が行われる事が予想されます。我々国会議員は、明治以来の先人が育んできた議会政治をより良い形で将来に引き継ぐべき責任をそれぞれが自覚し、代表民主制や国会の在り方を含め、大局的な視点から議論を行わなければならないと考える所です。


また昨今、ややもすればポピュリズム的・独裁的な政治の方が、迅速な意思決定ができるといった意見も見受けられる所です。しかし、リーダーシップに安易に依拠するのでなく徹底した議論によってこそ、自由で多様なアイデアが表出され、長期的には様々な課題の解決に繋がっていくものであると確信します。


本年は衆議院の総選挙が行われますが、こうした時こそ、戦いの場でもある国会こそが、民主政治実現の場である事に深く思いを致し、真剣な議論の下、接点を見い出す努力を尽くして結論を出すという議会制民主主義のあるべき姿の実現に向け、議長の職責を全うしていかなければならないとの決意を新たにしている所です。


結びに、改めてコロナ禍の終息を願い、本年が国民の皆様一人ひとりにとって実り豊かで明るい一年となる事をお祈りし、新年の御挨拶と致します。」


撮影:岡本早百合、文字修飾:FPhime

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