企業が求める法学修士、課題は非・法学部とリカレント教育|文科省

【教育報道】 文科省(大臣:萩生田光一)は、令和三年二月三日に『法学未修者教育の充実について 第十期の議論のまとめ』を公表した。非・法学部へ配慮や社会人学生等の実態に配慮した学修体制、法科大学院修了生のキャリアパスの多様化等をまとめた。


令和元年『司法試験』までに法科大学院 修了資格で合格した者は二.三万人に達した。二年四月現在の弁護士の登録者数は四.二万人。元年『法科大学院関連法』にて「法曹コース三+二」の五年一貫教育制度を創設した。


先ず、キャリアパスに関して「法科大学院修了生の活動状況に関する実態調査/同省」によると、修了生の就職先の五割が法律事務所。公的機関や民間企業は計四割。「就職先における法科大学院修了生に対する評価は高く、特に、修了生の危機管理・法的リスクへの対応力、業務上の法的問題の処理能力、コンプライアンスに関する対応力、外部との戦略的な交渉力等が期待されてい る。」と司法試験の合格だけが全てではない。



<経営法務人材>

 修了生を採用したいと考える企業は平成二十二年の八.八㌫から二十七年の二十四.四㌫へと増加傾向(「会社法務部 第十一次実態調査の分析報告/経営法友会、商事法務研究会」)。民間企業が法科大学院の修了生を採用する背景には、経営法務人材と呼ばれる様な法令全般の基礎的な知識に加え、ビジネス上の分析力、交渉力、ITリテラシ等を有し、組織と専門性の二重のコミットメントができる人材 へのニーズの高まりがある(「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書/経産省」)。


社会人学生、リカレント教育への配慮では「IT活用(オンデマンド受講)」「長期履修制度」「入学前の学習機会の提供」等を挙げた。長期履修制度では、「学生が自らの状況や適性に合った学修スタイルを選べる様に、複数の選択肢を用意しておく事が重要であるという点について意見は一致」している。


最後に非・法学部への配慮では、以下の三点を挙げた。

  1. 現状では、法学未修者の多様なバックグラウンドに充分配慮した教育が必ずしも為されていない為、法学未修者の一年次教育について学修者本位の教育の実現という視点から、積極的に充実させる必要があるのではないか
  2. 法学未修者が二年次から法学既修者と同一課程で学ぶ事ができる様にする為、一年次教育の成果を法学への適性や将来の司法試験合格可能性の観点から客観的に把握・評価した上で、二年次に進級できる様にする必要があるのではないか
  3. 法科大学院修了生の活躍は、現時点でも法曹を含む多方面に及ぶものの、法曹以外の分野を含めどの様なキャリアを歩んでいるか必ずしも明らかではない。社会における法的ニーズが益々多様化している事を踏まえ、多様なバックグラウンドを有する修了生が多様なキャリアで活躍できる様積極的に支援すべきではないか

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