小池都知事「持続可能な東京を創る為の“人材育成”が必要。」

【社会ニュース】 平成二十八年十月十四日の小池百合子(壬辰)都知事の定例記者会見では、十月二十七日に開催される『東京都総合教育会議』の他、豊洲市場に関する石原慎太郎(壬申)元都知事からの回答文の報告、都庁職員への目安箱の設置の説明等が行われた。


『都総合教育会議』は小池知事が知事着任後初の開催。基本的に会議内容は公開で、当日も公開だ。メンバは小池知事、教育庁と五名の委員。二十七日の会議では、新たに「教育施策大綱骨子(案)」について議論を行う。サスティナブル(持続の可能性)を訴える小池知事は「持続可能な東京を創る為には、将来を担う“人材の育成”は必要不可欠。日本の成長を支えるイノベーション(技術革新)を生み出す人材、次世代を育てていく教育を進めていく。」とし、今後の教育のあり方について、教育委員と議論を深めていく。



<生産性が低くてヘトヘトになるなら、>

 また豊洲問題に関して、石原元知事からの質問状に対する回答があった。充分に精査を行っていない、としながらも「具体的な回答は無かった。自分は聞いてい無い、記憶に無い、分から無い、覚えてい無いと言った様な回答。」と伝え、石原元知事に対して「これまでの作家生活、そして何よりも東京都知事を続けてきた御功績を無に為さらない様にして頂きたいと思う。」と、皮肉も交えながら言及し、更なる精査を行なっていくと述べた。


都庁職員の八時帰宅についての話も記者から飛び出すと、八時どころか六時にしたい、という。都庁側の提案は十時だった。「こんなに働いて、生産性が低くてヘトヘトになるなら、早く帰れる方が良い。もっと喜ぶべき。」と。驚愕性が大事であり、先ずは八時から、目標は六時と話す。取材陣に向けても「皆さんも、人生見直した方が良いんじゃないですか。」と、報道陣が都民を代表している前提で、率先して報道から生産性向上による勤務時間の短縮を示唆。厳しい一言を放った。これから担える人材育成を考えると、“押し付け”という表現を用い、長く働く事が良いという昔の考え方は相応しく無いと訴えた。



都のビジネス戦術

 同日は「東京特区 推進共同事務局」の開所式、看板掛けも行われた。山本幸三(戊子)地方創生・規制改革大臣は「東京は五輪を始め、今世界で注目されている。その東京を小池知事のリーダーシップの下で多いに発展してもらう為に、しっかりとタッグを組んで全力で取り組んでいき、内閣府と東京都がしっかりと連携して、成果を上げていきたい。」と話した。一方、スピード感が命という小池知事は「都民の皆さんにより良いサービス、より安心安全に暮らせる東京の実現に向け、東京を日本経済のエンジンとして、更に活性化させていく為にも、この特区を大いに活用していきたい。」と、待機児童の解消や国際金融都市の実現、介護施設不足の解消、女性活躍、セーフシティに向けた都市整備等と盛り沢山な内容であると述べた。


都の広報によれば、同事務局は国家戦略特区(東京圏;国際ビジネス・イノベーションの拠点)の計画を牽引する組織だ。「東京圏 国家戦略特別区域会議」より上位である。公式HPは今週にも開設する。また都の外国企業の誘致プロジェクト「アジア ヘッドクォーター特区」では、日本企業からのビジネス営業も可能だ。都 調整部の誘致係(03-5388-2864)が中継ぎを請け負う。尚、今月より「東京開業ワンストップ センタ」では、無料で中小企業診断士による経営相談・開業支援を開始した。


=解説=

教育のエコシステムを

 ぶら下がり取材で、現在の教育上の問題について小池都知事は“いじめ問題”を挙げ、山本大臣は自身の娘が教員をしている観点から「寝る時間も無い程の、重労働になっている。」と教師の待遇の見直しについて話し、「書類の手続き等を減らして、もっと子どもへの教育に力を注げる環境づくりを行うべき」と問題点を示した。


両名とも的を射ている。今や教育は子どもだけでなく大人にも、人材育成の観点で欠かせない。その際に大人の職場における“いじめ”は、優秀な人材を排除し、生産性を上げない。学校教員は子どもを教育する事が目的であり、書類事務は予備業務だ。職場でも本来の目的と異なる業務(仕事)に時間を費やしている。それはP・F・ドラッカが、生前によく指摘をしていた。子ども社会は大人社会の鑑ではないだろうか。



大人へ如何に教育を施すか

 『都総合教育会議』も「東京特区 推進共同事務局」、そして生産性向上に共通する点は“教育”である。義務教育の高さは年代毎に向上している。それは上の世代との基礎的教育ギャップでもある。下の世代に対する“やっかみ”が増えれば、“いじめ”等が発生する。どの様な優れた改革案を出しても、受け入れる体制がなければ、無難な意見に収束するものだ。受け入れる者は、大抵が上の世代だ。優れた事業案だけでは、成功しない。そして生産性の向上には、知識と知恵が欠かせない。古い知識や知恵だと現代では生産性が落ちる。目下の教育対象は、上司であろう。


日本に必要なものは“教育のエコシステム”だ。大人の実生活に対し、教育を如何に施すか。これこそが、サスティナブルな社会ではないだろうか。国際ビジネス・イノベーションを行える者を育てる教育機関は外せない。特に国際金融都市の実現には、フィンテックが核となる。都職員も含めた大人への教育が肝だ。教育の問題に真剣な眼で答えた、小池都知事と山本大臣に期待が懸かる。


記者:原田眞吾(報道部)、金剛正臣(解説部、撮影)

© FPhime 

0コメント

  • 1000 / 1000