【美容考察】 世界三大ミスコンに数えられる『ミス・インターナショナル(MI)』。先日で五十六年目の開催となり、フィリピン代表の幼稚園教師でモデルのカイリー・バーゾサ(二十四歳)が、本年の世界最上美女に選ばれた。MIは他のミスコンに比べて、内面性を非常に重視する。そもそも主催の国際文化協会の会長が女性で、審査員十二名中で半数が女性だ。MIは決して外見だけの評価で無い点が、世界的に評価されている。根本的な理由は、十八歳から二十六歳(本年)の各国ミスの知性にある。
一位のフィリピン代表は幼稚園の先生、三位のインドネシア代表は事業家、四位のニカラグアは営業企画。ミスコンという特性上、学生やモデルが多いもの。しかしMIは異なる。学生やモデルでも通訳や慈悲団体役員、美容アドバイザ、睡眠ポリグラフ検査技師、事業家等と仕事をしている者が多い。本業としては看護師や弁護士補助員、教育者、カイロプラクティック助手、軍人、弁護士、経営サポート、ジャーナリスト、看護助手、TV司会者、体育教師、慈善大使、歯科医等が各国ミスとして東京に集まった。
<三つの審査のポイント>
MIは、ただ容姿が端麗なだけでは優勝できない。女性の社会的活躍を推進している事から、人間性が重要なのだ。そういった意味合いでMIは他のミスコンから突出している。本年の六十九名から十五名に絞る際には、民族衣装・水着・ドレス審査が行われた。民族衣装では、自国の文化を表現する衣裳とウォーキングの演出が求められる。他国との違いを主張する。ランウェイで前に向う際よりも舞台に戻る際の後ろ姿が重要だ。戻る際は気が抜けやすいので、歩く後ろ姿の美しさは大きな加点対象だろう。
水着では、プロポーションとアクティヴさ、爽やかさ等を審査する。世界的な美女のトレンドである「筋トレ」と「Curvy」が各国ミスにみられた。特にヒップを重点的にトレーニングし、ウェストとの高低差を創り、ヒップラインを上げて、水着姿を逞しく美しくしていたミスが多かった。水着のデザインも大切で、ヒップを比較的露出させるデザインが多かった。ほぼTバックのミスもいた。ドレスでは、気品さが求められる。世界ではパーティは茶飯事に行われている。そこでの立ち振る舞いをウォーキングで審査するのだ。
この三審査が終わってから、選ばれた十五名による一分間の英語スピーチが行われる。ここで初めて審査員の前で話す事ができる。共通テーマは「もし私が優勝したら、世界で何を行いたいか」。これは完全にプレゼンであり、時間管理や話すスピード、内容等が問われる。本年に優勝したフィリピン代表は、開口一番で自身が考えるMIの三要素「文化・教育・国際的理解」を挙げ、MIのブランド力と意義を唱えた。他国のミスは感謝から始まる為、十秒以上も時間を取られる。フィリピン代表は感謝を削り、次の様に述べた(一部)。
ミス・インターナショルになりましたら、私は文化の相互理解、国際的な相互理解に献身していきたいと思います。自分と違った文化に対して思いやりを持つという事、そして他国に敬意を払い敬うという事、それらが国際的な理解に繋がると思っています。
非常に落ち着いたスピーチで、無駄な言葉の強さも過剰なパフォーマンスも無かった。「信じる」や「責任」という言葉で、信頼感と安心感を与えた二十四歳だった。尚、先日に発表された「ジェンダー・ギャップ指数二〇一六/世界経済フォーラム(WEF)」の「男女格差ランキング」において、フィリピンはアジアで首位となる七位となっていた。上位になるにつれて、国内に男女格差がないもの。日本は百四十四ヶ国中で百十一位と中国の九十九位にも劣った。
容姿だけに目が行きがちなミスコンであるが、MIは異なる。日本の女性達も、とても参考になるミスコンだろう。
『Miss International Beauty Pageant 2016/㈳国際文化協会』
記事:金剛正臣×撮影:岡本早百合
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