【芸能ニュース】 アジア・太平洋地域の各国映画プロデューサ達の親交や国際共同制作の推進を目的に平成十八年に発足した任意団体APN(アジア パシフィック プロデューサーズ ネット ワーク)は、本年次の総会開催地が東京であった為、TIFFと連携し二十八年十月二十六日に『APNアワード受賞式』を行った。本年で十一回目を迎えたAPN総会は、日本では二十年以降で二回目の開催となり、総勢百名以上の国内外の映画プロデューサが集結した。
アジア・太平洋の映画産業に最も貢献した映画人として、俳優・浅野忠信(癸丑)、女優・桜庭ななみ(壬申)、そしてアジア・オムニバス映画製作シリーズ「アジア三面鏡/TIFF、JFAC」の監督・行定勲(戊申)が受賞した。
数々の名作を世に出してきた行定監督は、「最近の自分のテーマは“越境”。“越境”する事で新たな自分を見つけ出したいと思っていた所、この賞を頂いて励みになる。」と受賞のコメントをした。“越境”の理由について「日本では(自身の)企画が通らなくなり、そこで海外だと思った。海外の撮影では自分の考えが覆されるが、その中から新しい道が見つかる。」と、海外での作品作りで学びが多いとした。TIFFでは「アジア三面鏡」も公開された。「アジア三面鏡の撮影は、とても大変だったが、観てみると自分の作品になっていた。これからも苦労をしに、色んな国で仕事をしていきたい。」と“、越境”をテーマに良い作品作りを行っていきたいと語った。
<各国映画プロデューサが選んだ日本人三名>
台湾映画や韓国ドラマをきっかけに中国語と韓国語を学んだ桜庭は、「好きで始まった語学が運を結んでくれたのか。台湾のドラマや日韓合作の映画、そしてジョン・ウー監督の最新作に参加する事が出来た。」と話す。これからについても「演技は勿論の事、言語力も更に磨いてアジアの作品にも沢山出演していきたい。」と述べ、続けて中国語と韓国語でも短いスピーチを行った。
一方、浅野は桜庭が中国語と韓国語で挨拶を行った事を受け、「僕もモンゴル語の台本を二冊覚えた経験があり、役を貰えれば、どんな言語であっても話せると思う。」と、眼の前のプロデューサ達にアピール。また「こんなに沢山のプロデューサの方が集まる中、この様な素晴らしい賞を頂けて、沢山の方が今後僕と一緒に映画を撮ってくれる事が決まったのが嬉しい。」と、浅野自らの売り込みに会場には笑いが起こった。
何処の国に興味があるか
各国でロケに挑んだ三名に今、興味があるアジアの国について尋ねた。浅野は日本と回答し、日本人役が一番良いという。桜庭は「中国語での仕事はした事があるので、次は韓国でやりたい。」と答え、行定は「この間、釜山にてある俳優さんと一緒に何かやろう、という話が上がったので韓国でやりたい。」としながらも、「来年は中国でやる事になると思う。」と新たな制作に取り掛かっている旨を明かした。
TIFFのディレクタ・ゼネラル(DG)を務める椎名保は「僕もある意味では、プロデューサ。限られた予算でやりくりするのが、TIFF。」と述べ、本年はTIFFが同授賞式のスポンサとなった経緯を伝えた。受賞三名と共に仕事をした経験がある椎名DGは、「今、日本で一緒に仕事をしたい三人だ。」と受賞を喜ぶと同時に、アジアの新作映画に彼らが結びつく事を祈った。『APNアワード』は彼らが俳優、女優、監督として本年アジア・太平洋で最も実力ある者である事を証明した。
『APNアワード授賞式/TIFF』
撮影記者:原田眞吾
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