蜷川実花も通った新人画家の登竜門『VOCA展』、ゆとり世代の芸術性にじり

【芸術報道】 令和三年三月十一日に東京・上野の森美術館にて日本美術協会(総裁:常陸宮殿下、代表理事:日枝久)は『VOCA展 二〇二一 現代美術の展望-新しい平面の作家たち』プレスビューを実施した。


本年は三十人・組が出品。グランプリである「VOCA賞」には群馬出身・秋田在住の尾花賢一(辛酉)による「上野山コスモロジー」が決定した。「同奨励賞」には鄭梨愛(辛未)と水戸部七絵(戊辰)。「同佳作賞」には岡本秀(乙亥)と弓指寛治(丙寅)。「大原美術館賞」には岡本。


本展は現代アートにおける平面の領域で、国際的にも通用する様な将来性ある若い作家の支援が目的の美術展。平成六年より毎年開催。VACA賞及び同奨励賞の受賞作品は第一生命保険に買上げられ、同本社の一階ロビーで公開される他、全入賞者に対して第一生命「南ギャラリー」での個展の機会が提供される。

昭和三十一年以来、断続的開催の「シェル美術賞/出光興産」と共に新人画家の登竜門。


本展では、全国の美術館学芸員や研究者、ジャーナリスト等から成る各推薦委員が、四十歳以下の作家一名・組を推薦。推薦された作家全員に展覧会への出品を依頼する。このシステムにより、全国各地で活躍する優れた未知の才能を毎回紹介している。報道現在で本展に出品した作家は、延べ九百五十一人・組。


福田美蘭(平成六年VOCA賞)ややなぎみわ(平成十一年同)、蜷川実花(平成十八年大原美術館賞)、清川あさみ(平成二十二年佳作賞)等と現在も多方面で活躍している芸術家達が出品している。



<芸術家の強み>

 VOCA賞を受賞した尾花は「自分が作品を制作するに当たって、会場となる場所を調べてから作品に取掛かります。今回、上野について今まであったもの、無くなってしまったもの。明るいものだけでなく、暗がりにあるものまで存在しているのが上野の魅力。大切にされるものがある中で何故無くなっていくものが幾つもあるのだろう、という疑問からスタートした作品です。まったくゴールと思っておらず、三ヶ月振りに作品を観て、まだまだ出来るだろうと思ったのが正直な感想。」と述べた。


同佳作・大原美術館賞を受賞した最年少の岡本は「色んな出展者さんの作品を観て、慢心していられないな。却ってちゃんと制作しないといけないな、という気持ちになってってます。」と。


記者からコロナ禍において画家の意見を求められると、尾花は「コロナが収束するしないが影響してくると思います。僕は僕にできる事を淡々と行っていく事です。」と答えた。


同佳作賞の弓指は「コロナのジャケットを作ってきました。」と会場から笑いを誘い、「直ぐに(コロナへ)アプローチすれば良いって事じゃないと思うんですよ。アプローチするタイミングは人によって違いますし。作家は考えてない訳ではないんですけど。言いたい時に言えば良いし。時間を武器に出来るのが芸術だと思います。」と力強く答えた。


本展は三月三十日まで。


撮影記事:岡本早百合(作品は氏名記載順)

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