コロナ後の経済を岡村財務官は「楽観的。」と断言、そのシナリオ|東京会議二〇二一

【財政・経済報道】 令和三年三月二十二日・二十三日にオンラインにて言論NPO(代表:工藤泰志)は、『東京会議二〇二一』を開催した。国際会議。二十二日には「コロナ後の経済復興-私たちはどんな困難に直面しているのか」と題し、日本から岡村健司(辛丑)財務官や米中等の財政系の要人がパネルディスカスに臨んだ。


「財務官」は通貨と為替の国際部門の責任者。別に「財務事務次官」もいる。財務省だけトップが二人いる。



<世界経済の回復は既に始まっている>

 岡村財務官は“個人としての考え”を前提に、コロナ後の経済復興について「楽観的な姿を描いていて。」と断じた。注視すべきは較差の拡大。楽観的な理由は、現在の経済低迷が従来の危機の様に経済システムの中に原因があった訳ではなく、外生的である点とした。且つ、インフラ破壊の様な自然災害でもなく、人為的に経済を低迷させた点を本質とした。


故に「大きく言えば、(世界経済の)回復は必ず起こる。時間軸の取り方の問題。」と。政策対応の基本は、経済再開までの時間稼ぎである繋ぎの為の「短期支援策(金融緩和、現金給付等)」と先を見据えた「中長期支援策(DX・グリーン投資等)」の組合せと述べた。


コロナ期で日米等の各国は大型の財政支出を行い続け、「感染収束に先行して世界経済の回復は既に始まっています。」と安定した口調で話していた。



日本が大丈夫なシナリオ

 各国共通の課題は累積する「政府債務」。特に日本はGDP比で三百㌫へ向かっており、世界経済への足枷となる可能性につき、岡村財務官は「私の答えはNO。日本は大丈夫。」と語気を強めた。以下が想定シナリオ。


  1. インフレが遠いので、金融超緩和を継続
  2. 財政はターゲッティングへ移行
  3. 債務のGDP比率は低金利の継続に助けられ、高水準ながらも安定
  4. そして経済回復が確立次第、速やかに“フルfledged”の財政再建の努力を再開


注意点は、米国の長期金利が日本へ波及しない様に遮断する事。



中国の存在と日本の打開策

 一方、世界の最大のリスクは途上国・新興国の債務問題とした。各国の較差の拡大である。「途上国の債務爆発と連鎖が、グローバルな経済危機を招くというリスクであります。」と説明。現実味を帯びているのは、米国の金利上昇・ドル高によって途上国等の借入れコストの上昇を齎し、債務危機のトリガを引くという負のシナリオ。


ここでの最大の課題は中国。自国ルールの主張だ。政策銀行「中国国家 開発銀行」を中国が民間と分類し、公的債権者による国際的な債務再編の枠組みの外に置いている点。実体を隠している為、債権者が公平に負担を分担できない。中国は途上国等で最大の債権者。中国の国際的な枠組みへの参加を求めた。


また、日本の「潜在成長率」の弱さを指摘。少子高齢化による労働人口の減少だ。コロナ前からの日本の大問題で、「労働力のリ・アロケーション」促進、「資本の効率性」促進、「全要素生産性の向上」投資と「低金利の維持」の四点を打開策とした。


記事:金剛正臣

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