トランプ勝利で分析する各メディア、来年をどう予測する

【政治考察】 泡沫候補と呼ばれていた共和ドナルド・トランプ(丙戌)が、平成二十八年一月二十日に第四十五代 米国大統領になる。昭和二十一年生まれのトランプ新大統領の政治に対し、各方面から様々な予測がなされている。トランプは大統領選について、SNSを挑戦的に活用した点を米・ニュース番組「60ミニッツ/CBCテレビ」で語り、記事『トランプ氏、「米大統領選の勝因はソーシャルメディア」/AFP(画像引用)』で伝えられた。トランプは「最高のコミュニケーション手段」と称賛。


ダイヤモンド社(代取:鹿谷史明、石田哲哉)は、記事『日本経済、トランプの政策で「好循環が逆回転」のシナリオ(画像引用)』にて日経平均や円相場を挙げて、円高ドル安の進行を警戒。米建国二百四十年間において、行政・軍事が未経験の大統領は過去にデータが無く、先行き不透明とした。特に円高が重荷になる日本企業を七社、取り上げて収益の影響を示した。一円高くなると、主要上場企業の経常利益は〇.五㌫下がる。


円安・株高の「トランプ相場」が続く中、米トムソン・ロイター(CEO:ジェームズ・スミス)は、十七日付けのコラム記事『「トランプリスク」で円高再燃は杞憂か/尾河眞樹』で円高反転の警戒を示している。タイミングは、一㌦あたり百十二円から百十三円。五年のビル・クリントン民主党政権「日米貿易不均衡是正の主張」と十五年のG7財務相・中央銀行総裁会議「共同声明」等を例に挙げ、円高反転の理由を指摘。尾河は、ソニーフィナンシャルHD(8729.T1)の執行役員で金融市場調査部長だ。




<レーガノミクスと科学技術>

 講談社(代取:野間省伸)は、記事『トランプ経済は、実は「大化け」の可能性を秘めている!/安達誠司』にてマーケットが典型的なリスクオフの状態と断じる。執筆したエコノミスト・安達は、この状態を“方向違い”と指摘。トランプの経済政策を「レーガノミクス」に近似と比較的に好感し、実現不可能な外交政策に関しては同党が過半数を占める米・上下両院議会が抑止力になると推察する。やる気を失くしたトランプの早期レイムダック化を懸念しつつも、大化けの可能性を否定していない。課題を「債務上限引上げ期限(来年三月)」と「FRB金融政策」の二つ挙げ、大化けの条件を示す。


Yahoo!(4689.T1)は、記事『トランプ大統領誕生で科学技術はどうなる?/榎木英介』にて米・科学技術を占う。米ネイチャー誌はクリントン支持であるものの、一部に隠れトランプ支持の科学者がいる点に触れた。米サイエンス ディベイト(画像引用)が行った大統領候補者への科学技術の二十質問を挙げ、トランプの科学技術に対する政治力を懐疑的にみている。



選挙戦はパフォーマンスであった可能性

 日経BP(代取:長田公平)は、記事『石破氏:「トランプ大統領」は豹変する/ 坂田亮太郎(画像引用)』にて元防衛大臣・石破茂(丁酉)衆議に今後の日米関係等を尋ねた。石破は先ず、トランプへの人物評の修正を伝えた。日米安保で米国も恩恵を受けている、とトランプが理解している点について触れ、米・防情報局の元長官であるマイケル・フリンとの意見交換も踏まえて、トランプの立案した政策を以って評価すべき、日本は国防に対する再考すべきとした。円高の漸進には懐疑的で、米国社会の変質を述べた。



トランプへの見方は様々であるが、トランプはビジネスマンで富豪である点を忘れてはならない。そのビジネス的感性は優れており、政治の世界(大統領選)でも大差をつけて成功した。実際の得票数はクリントンが多かったにも関わらず、適当なマーケティング戦術を用い、少ない票で州毎の選挙人総取り戦を大勝した。

ビジネスマンには冷静さが求められる。選挙中のトランプはパフォーマンスであり、実務は実直ではないだろうか。その政権は感情的では無く、「米国ファースト」のクールなネオ・アメリカ。必ず実績を残すであろうハネムーン期間は、就任日から百日の四月末まで。世界大恐慌(昭和四年)を克服する為の経済政策「ニューディール政策」を就任百日で成し遂げた、第三十二代のフランクリン・ルーズベルト(壬午)元大統領の様に結果を残せるか。


記者:金剛正臣

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