国連アドバイザの統計データ的警告『日本の教育はダメじゃない 』

【教育書籍】 国立「台湾大」小松光(乙卯)准教授と「京大」大学院・ジェルミー ラブリー(丁巳)准教授の共著『日本の教育はダメじゃない ――国際比較データで問いなおす/筑摩書房』。両者共に報道現在で、国連・教育科学文化機関等のアドバイザも務める。

本書は世界から見た日本教育の分析と云える。


表題が結論。行政を含めた日本教育界や保護者達の認識は、誤っていると言わざるを得ないだろう。本書は二部構成。一部では、十四の通説を世界データ(PISA、TIMSS等)を基に検証。二部では、四つの提案を保護者向け、学校の先生・教育行政向けと教育関係者・メディア関係者向けに行っている。


「はじめに」と第二部では日本の教育を壊さない為に、と現状の保護を訴える。特に本書の中盤で日本の現場教員(教諭)が世界トップ級である点は思慮深い。教育も現場至上主義であるべき典型であろう。それをPTAやメディア、教育委員会等の教育行政が破壊していると視る。



<統計的日本の教育の結果・成果>

 「ゆとり世代」に関しても学力は、同世代以前よりも僅(ワズ)かに高く、劣ってない。創造性も問題無し、と著者は断じる。根拠はPISA。「学校で習った基礎的な内容を、新しい目的に対して創造的に使えるか」がPISA。理数は上位十位以内に入っており、米国は中位国。参考にならない。読解力は米国同様に中位国なので、国語の強化があぶり出される。理数はそのままで良い。


また子どもだけでなく、日本の教育を受けた大人達が世界トップ級を維持している点にもデータを用いて言及。その大人達はゆとり世代よりも前の世代だ。日本の教育は上手くいっている。理由は矢張り、現場の教員。「国ごとの授業の比較」で日本の授業は、実に四割が世界的に高品質な授業と見做しているデータだ。米国では高品質な授業が略〇。


更に日本は体育の授業も世界トップ級で、文武両道を実践している。結果、肥満児が世界的に少ない要因となっている。『私たちからの提案は、「未来に対する不安は消えないのだ」と肝に命じて、「安定した不安」を持ち続けよう、という事です。』と伝える。米国発のアクティブ ラーニング等は日本の世界トップ級教育には付け足す程度だろう。


そして教育の成果として、「平均寿命」「乳児死亡率(低い程、上位)」「殺人発生率(同)」は世界トップ。「アルコール依存」は三位。「摂食障害」「うつ病」も含めて米国を遥かに凌駕している。本書で例示した中で唯一、米国と同等なのが「自殺率」。ここを教育改革すべきだ。報道現在で政府は動いた。それ以外は、日本教育の成果が高い点を証明している。


生き方そのものを教えなくなった

 だが、本書では触れてないが問題点はある。それはゆとり世代以降、社会での生き方が不得手な点だ。氷河期世代以前では、生き方そのものを学校で教えていたが、ときの保護者達の意見で生き方そのものを教えなくなった。例が体罰だ。上図は令和二年時点。


刑法に抵触する体罰は許されないが、軽微な体罰は生き方を教えてくれる。体罰だけではないが、現場の教員が自身達の頭と心を使い、ちゃんと教育してきた。だから最悪環境と言われる氷河期世代でも何とか生きてこれた。「何がダメで、何が良いのか」、この指針(感覚)を教わってないから、ゆとり世代以降は社会で苦しみ、孤立化する。正に教育の失敗だ。



<綺麗ごとでは成果は伴わない>

 世界的統計データで見れば、日本の教育の結果・成果は伴っていた。世界で体罰反対と言っている国々は、ただの感情論ではないのか。日本の社会治安は世界トップ級で、経済力も世界三位。教育の結果・成果で判断すべきだろう。日本よりも「治安が悪い」「児童虐待(レイプ)が多い」、これらの対策をしない国々から教育に関してとやかく言われる筋合いは無い。先ずは自身の国の改善を。


※上図は「Crime Index by Country 2021」と「Safe Cities Index 2019」。「世界平和度指数」には女性・子どもに対する暴力行為の評価が含まれていない。


結果・成果の点で戦前教育が最も優れており、白人至上(植民地)主義を終わらせたのは、間違いなく大日本帝国であった。劣っていたのは、第二次大戦時教育と政治システム(明治憲法は軍部を含んだ四権制)だった。今は戦時教育をする訳もなく、政治システムも三権制、そして主権在民(シビリアン コントロール)となった。大東亜戦争の轍は踏まない。



温故知新

 ならば大局として戦前教育(天皇主権を除く)へ戻す事を目指し、局所は現場の教員達に委ねるのが一番であろう。戦前教育の核「修身」に軍国主義は無い。軍国主義は戦時教育。例として埼玉・川口の坂本だいすけ市議会議員のブログを挙げる。「修身の授業を通して『偉人の生き方』などを示しながら具体的に子供たちに教えた。(二宮尊徳、西郷隆盛、野口英世、上杉鷹山、ナイチンゲール、ジェンナ一、ワシントン、板垣退助、間宮林蔵、渋沢栄一、水戸光圀、など多数)」。


PTA等は自身の子を育ててくれる教員をサポートし、教員達がより良く仕事ができる様に労働時間の改善や業務改善を教育委員会等へ訴えるべきであろう。保護者は顧客ではない。教員を責める事自体が、子どもの未来を奪っている事を知るべきだ(刑法犯を除く)。その為には、母親が耳を傾ける、多様性を受け入れるべきだ。


「清濁併せ吞む」、そういう教育環境が人材・人物を育てる。決して排除(粛清)してはならない。善が悪に化けてしまう。善をキープする為に、必要悪は保持する。


氷河期世代からゆとり世代以降は、母親達の結果・成果というデータに基づかない個人的感情で現・女性都知事の様に道を誤ってしまった。女性の国会議員でもメールのマナーも守れない等の母親が取材を通じている。


教育すべきは母親である。日本の教員達は今でも優れている。だが国語は強化する。母親も教員も共に愛が深いだろうが、今の母親達は狭量である点が誤っている。狭量な母親・教員からは狭量な子しか育たない。良い教育とは、広量に他ならない。


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