新経連の『日本の成長戦略』、対中を見据えた国際執行庁やSPAC等

【経済報道】 新経連(代表理事:三木谷浩史)は、令和三年四月十三日に立憲(代表:枝野幸男)経済政策調査会にて『日本の成長戦略』についてプレゼンした。プレゼンでは「第三の開国」につき、デジタルシフト・イノベーション・ダイバーシティの観点から推し進め、第三の開国を実現する為の関連提案を説明した。


第三の開国とは、日本における「明治維新」「戦後」に次ぐもの。変革の主体は、企業家及びスタートアップ。


これから日本の産業構造が進化する、と新経連は考える。現在は第三次産業が主力だが、未来には全産業においてデータ・AI・IoT(ロボットやドローン等)が必須になると予測。正に第四革命の事である。全産業の中に「B2C」が入っている点がポイントだろう。現在はYouTuber等の「生産消費者(プロシューマ)」が勃興しており、サブスク等で新たな市場を形成しつつある。そのB2Cが進化する。


しかし、日本のデジタル(IT・STEAM)人材の絶対数は、世界に比べて見劣りしている。そこで新経連はグレートリセットと称し、デジタルシフト・イノベーション・ダイバーシティを徹底的に推進したい。



<具体策>

 デジタルシフトでは、現状の問題点として「法の域外適用・執行」「アプリストア寡占」「課税」「参入障壁」「著作権」「買収」を挙げた。日本企業は外国企業と比べ、アンフェアな競争環境が問題という事だ。以下が対応策。


  • 国内法令については「域外適用・執行をデフォルト化」する関係法令一括整備法を制定すべき
  • 情報収集の強化(『会社法』八百十七条の厳格適用、国内法人への資料提出義務の強化、日本国内で得た情報については国内サーバーへの保存を義務付け)
  • 執行機能の強化(対外資への裁判の国内管轄権、「国際執行庁」の創設)
  • 相互主義原則に基づき、日中交渉による「参入障壁」の取下げ要求
  • 参入障壁を続けるならば、日本でも同等の規制を課す(中国企業が日本市場に参入する場合は、日本企業との合弁企業を立上げない限り、事業ができない等)


イノベーションでは、「官民ルールメイキング」「事後規制」「スタートアップ生態系」「特区・サンドボックス活用」等を挙げた。以下が要望事項。


=DX規制改革=

  1. アナログ原則の撤廃
  2. AI・ブロックチェーンを前提とする為のレガシ規制の見直し
  3. 国・地方の情報システムの在り方と連動した柔軟な調達制度・会計制度の改革
  4. データ流通促進の為の構造改革;データ基盤としてのベース レジストリの整備、デジタル経済社会を支える為の法的基盤の整備、データ流通・共有の拡大による国民便益の拡大
  5. デジタル人材育成の為の規制改革等パッケージ;人材供給力確保の為の教育改革、『雇用労働法制』改革、公務員制度改革、デジタル人材育成税制の導入
  6. 規制・制度のDX等を進める為の枠組みの整備;『DX法制局整備法案』、『行政対応コスト削減法案』
  7. 「越境経済」下での適切な競争環境の整備;『域外適用・執行をデフォルト化する関係法令一括整備法』、情報収集の強化と執行機能の強化(『会社法』の厳格適用、国際執行庁の創設等)、相互主義原則の対応(相手国の参入障壁の撤廃)


=レガシ規制等改革=

  1. コロナ問題を契機とした『労働法制』の見直し等
  2. AI等を活用した新たな事業融資制度の構築
  3. 株式投資型CF規制の見直し
  4. リスクテイク投資家層の拡大・私募ルール見直し
  5. SPAC(特別買収目的会社)の導入
  6. 観光立国復活へ向けた『旅行関連法制』の一体改革


SPACとは、一つの上場手法。買収専門会社で事業を有さない。空箱上場。著名なビジネスマンが自己資本で会社設立・上場。上場後に投資家から資金を集める。集めた資金で未公開株の企業を買収。合併後に被・買収企業が上場企業となる。弱い未公開株でも著名なビジネスマンの担保により、上場できるもの。


画像:㈳新経済連盟

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