マクロ経済にイノベーションを、インフレ目標三㌫へ|自民「新経済学」勉強会

【政経・財政報道】 令和三年四月二十日に国会にて自民党「ポストコロナの経済政策を考える議員連盟(会長:安倍晋三)」は、第六回目となる勉強会を実施した。今回の講師は「上武大」ビジネス情報学部・田中秀臣(辛丑)教授。

結論は、コロナ期とコロナ後で経済対策を分ける点。


冒頭に安倍会長(甲午)は「何とか失業率は、国際社会の中ではかなり低く抑える事ができている。」と述べた。日本の失業率は二月期で二.九㌫(総務省)。米国は六.二㌫、韓国は四.〇㌫。一月以前の英・独・仏・伊も日本を上回っており、スペインに至っては一月期で十六.〇㌫(全て労働政策研究・研修機構)。安倍会長は「経済を失速してはならない。」とコロナ後も踏まえて見据える。



<コロナ期・後の経済対策>

 田中教授(写真上)は、コロナ期とコロナ後で経済対策を分ける。コロナ期には、低所得者層向けで「持続性 定額給付金」と企業向けで「追加融資」を挙げた。コロナ後には、政府・日銀「インフレ目標三㌫」を挙げた。既存の二㌫から一.五倍となるので、超・金融緩和の金融政策に引き続き、コロナ前よりも一.五倍の財政政策を示したとも言える。これは新・高度経済成長期の地盤と成り得る。


戦後の日本は「緊縮財政」を是としてきた。その理由を教授は、GHQと左派系 経済学者とした。第二次大戦にて日米は世界最強決定戦を行った。勝利を収めた米国は、二度と日本が米国に対抗できない様に貧困化政策を実施。右派が圧倒的に強かった戦前の超・資本主義な日本を変えるべく、左派・左翼をGHQが支援。その名残りが七十年以上経った令和の現在まで残っている、と教授は言う。


これを打破したい。コロナ期では国民の貯蓄が増える事は是。低所得者層には毎月、安定した給付金の支給によって生活を維持して貰う。経済活動を抑え、コロナ収束を狙う為の対策だ。二十五日より「第三次 緊急事態宣言」が発出されるが、二年度の第三次 補正予算ではGDPギャップを埋めれない。最大で六兆円のGDPギャップを埋めるべく、新たな本年度の補正予算が必要と説く。


二十三日には国民(代表:玉木雄一郎)が三十兆円、二十四日には自民(総裁:菅義偉)が五十兆円の追加対策をそれぞれまとめ、提言した。



再び経済学の先頭へ

 そしてコロナ後には、景気刺激策としてインフレ目標三㌫を達成すべく、貯蓄額が大きい中・高所得者向けへも財政政策を行う。コロナ前の一.五倍が目安だろう。最初の景気刺激策は二十兆円。勉強会の最後に教授は、アベノミクスを「経済政策のイノベーションだった。」と振り返り、「マクロ政策のイノベーションが必要だ。」と財政新次元を訴えた。


昭和四年に起きた「世界大恐慌」を世界で逸早く乗切った日本。牽引したのは当時・高橋是清(甲寅)大蔵大臣。同時期に現・主流派の「ケインズ経済学」が台頭している。日本の経済学は本来、世界トップ級と云える。しかし、戦後に壊れてしまったが、現・世界経済はアベノミクスに準じた政策決定を行うまでになった。


日本を立て直すべく自民・本議連の勉強会では、正に令和時代の新経済学を学んでいる。


記事:金剛正臣、撮影:岡本早百合

画像:国際比較統計:完全失業率/独立行政法人労働政策研究・研修機構、田中秀臣

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