中小・零細企業へ経産省の打開策|二〇二一 中小企業白書

【ビジネス報道】 経産省(大臣:梶山弘志)は、令和三年四月二十六日に動画『二〇二一年版 中小企業白書・小規模企業白書概要』を公開した。両白書は二十三日に公表した。


本年版の中小企業白書のテーマは「危機を乗り越え、再び確かな成長軌道へ」。コロナ禍が中小・零細に与えた影響を肌理(キメ)細かく分析。実態を明らかにし、危機を乗り越える為に重要となる取組みや経営者の参考になるデータや事例を豊富に紹介している。


同省は、以下の四点が危機を乗り越える力とした。

  1. 中小の財務基盤とコロナの影響を踏まえた経営戦略
  2. 事業継続力と競争力を高めるDX
  3. 事業承継を通じた企業の成長・発展とM&Aによる経営資源の有効活用
  4. 消費者の意識変化と零細の底力



<中小の柔軟性とKPI>

 コロナ禍が企業活動に影響している割合は七割。貸出残高は三百兆円を超えた。政府系金融機関が前年同期比で五割増。「持続化給付金」の実績は四百二十三万件、給付額は五.五兆円(二月時点)。


コロナ禍においても事業環境の変化に合わせ、新製品の開発や新事業分野への進出等の柔軟な対応をした企業程に回復が早い。将来に向けた経営戦略を立案し、事業を見直していく事は中小共通の課題。各中小が目指す方向性に合わせた肌理細かな支援と共に、取引の適正化や事業継続力強化等の共通基盤の整備を同省は進める。


以下が中小政策のKPI(重要業績評価指標)。

  1. 中小の「労働生産性(付加価値/労働)」を今後五年間で五㌫向上させる
  2. 中小の「全要素生産性(付加価値/労働+資本+原材料等)」を同上
  3. 中小から中堅に成長する企業が四百社/年以上を目指す
  4. 海外への直接輸出・直接投資を行う中小の比率を今後五年間で十㌫向上させる
  5. 開業率が米英レベル(十㌫台)を目指す



具体的政策

 具体的にはA「地域資源型・地域コミュニティ型企業」、B「グローバル型・サプライチェーン型 企業」、C「共通基盤の整備」の三類型で政策を落とし込む。


Aでは、地域資源等を活かした域外需要を取込む「地域資源型」へ地域資源の魅力向上や海外展開支援等を。地域の需給バランスを踏まえた持続可能な経済圏を形成する「地域コミュニティ型」へグランド デザイン策定(需給バランス)と自治体連携型 支援を。


Bでは、中堅への規模拡大促進として規模拡大の可能性が高い企業群への重点的支援を、M&Aによる成長・規模拡大として税制や手続に要する期間の短縮によるMA&促進を、海外展開支援の強化として日本公庫による海外子会社への直接融資の強化と中小機構によるファンドへの出資を通じた海外展開支援を。


Cでは、大・中小の共存共栄として連携促進と取引の適正化を、事業継続力強化(レジリエンス)としてサプライチェーンで連携したBCP(事業継続計画)策定促進とハザードマップ周知を行う。


二〇二一年版 中小企業白書・小規模企業白書概要/経済産業省(※動画埋め込み不可)

画像:概要/経済産業省

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