経営戦略「ICT」としてのテレワーク戦術、現状の導入は二割未満、ならば

【ビジネス考察】 平成二十八年十一月に政府は『「働く、が変わる」テレワークイベント』を開催した。GDP六百兆円を目指す安倍政権にとって、重要なテレワーク(以下、「TW」)。国内のTW導入率は二割にも満たない。TWを上手に運用すれば、生産性が上がる事は実証されており、国内GDPを押し上げる。TWは、経営戦略の中でも情報(ICT)戦略内の戦術だ。同イベントで表彰された企業群は、主に人事部(ないし準じる部門)がTW推進を担当し、全社的に採用した。


これは経営陣(取締役会)が動かなければ、成果を上げれない戦術だ。逆説的に国内で二割未満の導入率の中で、全社的にTWを採用できれば競合他社に差をつける事が可能になる。TWはアプリ等と異なり導入が直ぐにできない。初期運用期間(テスト ランニング)が必要である。完全固定のオフィスではなく、各自の柔軟な働き方を行うだけに、各社特有の個性にTWを当てはめていく必要がある。この点が、普及し難い理由であろう。




<テレワーク三類型>

 この分野で中核的な組織である「日本テレワーク学会(会長:松村茂)」は、同イベントでTW月間(十一月)の報告を行い、TWには五段階ある旨を伝えた。


  1. 企業(大企業)のTW
  2. 中小企業がTWを導入
  3. 対面サービスのTWの広がり
  4. テレワーカのマルチタレント化
  5. TWの一般化と地方創生の実現


現在は、一の段階だ。大企業がTWを導入する時期。組織が大きいので、全社的なTW採用後にはテスト ランニングに時間を擁する。中小・零細企業はそれを待たずに、競合他社を出し抜くべき早期採用に取り組み始めるべきだろう。


テレワーク協会(会長:宇治則孝)によれば、TWには三類型がある。「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライト オフィス勤務」だ。欲張るのも良いが、まず三類の内、一つに集中して自社のビジネス システムを変える事が肝要だろう。TWをサポートする企業は同協会のHPに「テレワーク関連サービス情報の紹介」として掲載されている。政府も来年一月より「テレワーク推進企業ネットワーク」を公開予定で、TW導入に関する相談体制を整える。詳細は最下部。

NTTの代取(現顧問)を務めた宇治会長は、「TW推進のムーヴメントも拡がっているのではないかと思います。働き方改革の中で当たり前に、特別な働き方ではなく、皆さんが自由に活用できる、そういう働き方の一つになるのであろう。」と、TWの全国的な普及促進を推し進めていく。




自社仕様に変えていく

 TWのコアとなるものは、散らばった社員達の仕事を見える様にするクラウドとセキュリティだ。この二つは「トレードオフの関係」であるので、自社の全仕事を再認識しながら、相談担当企業とTWの導入を進めていく。テスト ランニングには、中企業で一年から三年は要するであろう。この間に自社の仕事に完全に合わせるオーダメイドにするか、コストを抑えてクラウド サービス側に合わせるかを選ぶ。当然に成果を数値化できる様に、人事部を教育する必要もあるだろう。


来るべくAI等を含む第四革命の技術群は、TWとの相性が高い。これも政府は推す。故に、第四革命前に自社のTW導入と安定化まで備えておけば、二次関数的ないし指数乗数的に競合他社を二度と巻き返せない程にまで、大きく引き離せるだろう。


テレワーク推進企業ネットワーク 連絡先

総務省 情報流通行政局

情報流通振興課 情報流通高度化推進室

担当:橋本補佐、松本係長

電話:03-5253-5751


画像引用:㈳日本テレワーク協会

記者:羽田野正法×撮影:金剛正臣

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